霖CPSS 「香霖堂の招き布都」   

「香霖堂の招き布都」 (霖之助 布都)





 無縁塚には、外の世界の割と様々な物が流れ着く。それは外で役目を終え忘れられてしまった道具であったり、本や飲み物といった嗜好品であったり、どうやって使うのかもわからない不思議な物であったり、単なるガラクタであったり、まあひどいときには人間であったりする。
 そんな無縁塚に流れ着いた品々を霖之助は日頃から蒐集して歩き、店先に並べたり物置に突っ込んだり、白黒の魔法使いに死ぬまで借りて行かれたりしている。
 だから時には、なんのために存在しているのかもわからない珍妙なアイテムと出くわすこともあるのだ。

 名称:ネコミミカチューシャ
 用途:頭につける

 よろしい。問題は、なにゆえこんなものを頭につける必要があるのかだ。
 無縁塚で興味深い道具を見つけてくると、店に戻ってから必ずその道具について考察を繰り広げる霖之助である。一応店は開けているし、難しい顔で帳場に佇む姿はいかにも仕事真面目な商売人だが、その実店番などまったくする気がない。今の霖之助にとって最大の関心事は、香霖堂に客が来るかどうかではなく、これが一体どのような意味を持った道具であるかなのだ。

(頭につける。まあ、カチューシャなのだから当然だが)

 しかし、なぜネコミミ。
 いま霖之助が持っているのは、『ネコミミカミューシャ』の名称そのままに、作り物のネコミミが取りつけられたカチューシャである。これを頭につけると当然、その人にネコミミが生えたように見える。ネコミミが取りつけられている以外は、なんてことのない安っぽいカチューシャである。

「――りんのすけーっ! おはよー!」

 マジックアイテムの作成・鑑定にも精通している霖之助だが、このカチューシャから特にそういった力は感じない。何度見ても何度考えても、これは『ネコミミがついただけのただのカチューシャ』だ。であればこのアイテムがもたらす効果も、「つけるとネコミミが生えたように見える」以外にはありえない。

「……う? 霖之助?」

 しかし、この世に意味のない道具などない。あらゆる道具は皆、生まれるべくして生まれた相応の理由というものを持っている。すなわちこのカチューシャが持つ「つけるとネコミミが生えたように見える」効果にだって、なにかしら重要な意味が秘められているはずなのだ。

「霖之助? おーい、」

 では、ネコミミが生えたように見えるその意味とはなにか。そう考えたとき、霖之助の頭にはまず『扮装』という言葉が浮かぶ。人間がこのカチューシャを身につけるということは、人ならざる姿を手に入れ、人外の領域へ足を踏み入れることを意味している。

「こら霖之助っ、無視するでないっ」

 こういった『扮装』は、古来より人間にとって重要な意味を持った行いだった。例えば幻想郷でも広く行われている節分においては、災いを象徴する『鬼』に扮装した人間を豆で追い払うことにより、擬似的に厄払いを演じ、無病息災を祈願する。また咲夜から聞いた話によれば、最近の外の世界では、人々が魔物や幽霊の仮装をして町を練り歩く『ハロウィン』という祭りがあるという。
 人間と『扮装』は、古から切っても切れない密接な関係にあるのだ。

「霖之助? り、りんのすけえぇ……」

 このカチューシャも、そういった類のアイテムなのではないか。人に人外の姿を与え、『ケ』から『ハレ』の舞台へ導くための。なかなか悪くない線を行っている気がする。よし、今度咲夜か早苗がやってきたときにでも詳しく話を

「りいいいんのすけえええぇぇ――――――――ッ!!」

 霖之助は椅子から転げ落ちた。

「な、なんだなんだ!?」

 落下の衝撃でずれた眼鏡を直しつつ立ち上がると、椅子を挟んだすぐ向かい側に、ほっぺたぷっくりのふくれ面をしている布都がいた。
 肩からどっと力が抜けた。

「なんだ、布都か……」
「なんだではないっ」

 布都は指の先まで隠れる長い袖をぱたぱたさせ、大変ご立腹な様子で、

「ひどいではないかっ、無視するなんて!」
「ん? ……そういえば君、いつの間に店に」
「我、何度も声を掛けたのだぞ! なのに顔を上げてもくれぬなんてっ」
「あー……ごめん、ちょっと考え事をしててね」

 たまにあるのだ。考え事、或いは読書に没頭するあまり来客に気づかない。もしくは気づいても、接客がとんでもなく雑になる。霖之助が、「お前は商売に向いていない」と知り合いみんなからケンモホロロに言われてしまう、その主な原因のひとつである。
 苦笑、

「今日、面白い道具を拾ってきてね」
「なになにっ?」

 ほっぺたぷっくりふくれ面を一瞬で吹き飛ばし、布都がきらきら輝く瞳で霖之助を見上げた。近頃まで千年以上眠り続けていたという彼女は、元々の好奇心旺盛な性格も手伝って、香霖堂のありとあらゆる道具に興味を示してくれる霖之助の上客だった。
 本当に、いい子すぎて涙が出てくる。これが霊夢か魔理沙なら、「どうせまたガラクタでしょ」と鼻で笑われるか、「お、おう、見てやるけど蘊蓄はやめてくれよ」と後ずさりされるかだろうに。

「ほら、これだよ」
「おおーっ!」

 カチューシャを渡されただけとは思えぬ見事なリアクションで、布都はネコミミカチューシャを受け取った。

「ネコの耳だ! ネコの耳がついておるぞ!」
「ネコミミカチューシャというらしい。それを頭につけると、まるでネコミミが生えたように見えるという寸法みたいだね」
「なるほど!」

 布都がいそいそと烏帽子を脱ぎ始める。その時点で彼女がなにをしようとしているのか素早く察し、霖之助は近くの棚に手を伸ばしておく。
 布都がカチューシャを装着すると同時に、そこから手鏡を差し出した。布都は手鏡を覗き込んで、

「おお! 我にネコの耳が生えたぞ!」
「ああ、生えたね」
「すごいすごいっ! どうだ霖之助、似合っておるか?」

 ネコミミを指先でつまんでご機嫌な布都に、霖之助は微笑んだ。

「そうだね、似合ってるよ。随分とかわいらしいじゃないか」
「えへへー」

 霖之助は、世辞を言うのが苦手だ。よってこれは、紛れもない霖之助の本心である。自由奔放で好奇心旺盛という元々ネコらしい布都の性格も相まって、ネコミミをつけてはにかむ姿は申し分なく似合っていると思えた。
 そこでふと、霖之助は気づいた。

(待てよ? かわいい……か)

 ネコミミを指でぴこぴこさせ、「なんと素晴らしい手触りであろう……すごいのう、すごいのう」とすっかり感服しきっている布都を観察しつつ、霖之助は思考する。
 ひょっとするとあのカチューシャ、ネコミミがついていることに深い意味などなく、単に女の子をかわいらしく見せるためのアクセサリーなのではないか。そう思って改めて見てみると、なるほど、あのネコミミはある程度かわいらしくデフォルメが施されていて、本物を忠実に再現しているとはお世辞にも言い難い。もしあのカチューシャがなんらかの民族的、もしくは芸能的な意味を持った道具であるなら、もっと本物に近づくよう意匠が凝らされて然るべきではないのか。
 すとんと腑に落ちた心地だった。

「……う? 霖之助、どうかしたのか?」

 物思いに耽る霖之助を、布都がくるくるとした目で見上げた。その蒼くて丸い瞳を、ああ本当に子猫みたいだなと思いながら、霖之助はそっと笑みを返した。

「ありがとう、布都。君のお陰で、僕の疑問がひとつ氷解したよ」
「え? わ、我、なにもしてないぞ?」
「そんなことはないさ」
「そ、そうなのか……?」

 布都はわけがわからず疑問符をたくさん浮かべながら、くすぐったそうにネコミミを触ったり、指で髪をくしくししたりしていた。ネコミミのお陰で、それが普段よりも一層微笑ましく見える。自分が至った『ネコミミカチューシャただのアクセサリー説』をますます強く確信しつつ、霖之助はふと、

「それ、もし気に入ったなら君にあげるよ」
「え!?」

 布都はびっくりして、

「……で、でもこれ、せっかく拾ってきたものであろうっ?」
「いいんだ。どうやら、僕が持っていても仕方のない物みたいだからね」

 ネコミミカチューシャがただのアクセサリーとなれば行先は香霖堂の商品棚以外にないが、買ってくれる誰かがいるとは思えない。だったらいっそ、布都さえよければ彼女にあげてしまってもよいと思った。曲がりなりにも商売人の霖之助が利益度外視でそう考えてしまうのは、ひとえに彼女の人柄が為せる業であろう。
 だが布都の面持ちは晴れず、

「む、むう……で、でも我、最近、霖之助によくしてもらってばかりな気がする! この前だって……」
「ふむ、そうだったかな?」

 よく覚えていないが、言われてみればそんな気もしてきた。布都は香霖堂のあらゆる道具に興味を持ってくれる上客で、霖之助にとっては日々の生活を彩ってくれる清涼剤的な存在でもあるので、ついつい道具を譲ったり貸したりしてしまうのだ。
 詰まるところ布都は、とても甘やかされ上手な女の子なのだった。
 むーっ! と彼女はまたご立腹である。

「霖之助っ、お主には商売をする自覚が足りぬぞ! 我らみたいな客にそうやって道具を譲ってばかりでは、またこの店の帳簿にゼロが」
「ああ、それなら心配要らないさ。僕がこんなことをするのは君だけだからね」
「へ?」

 もっとも、「また店の帳簿にゼロが」の部分は霖之助もなかなか心配なのだが――さておき。霖之助は椅子に座り直して、ぽかんと棒立ちしている布都に向けて、

「自覚が足りずとも商売人の端くれだ、誰彼構わず商品を譲ったりするわけがないじゃないか。君だけ特別だよ」
「と、とくべつ」

 布都が陶然とオウム返しをする。

「……そ、そうなのか? 霊夢と魔理沙は」
「あの二人は、僕が譲るまでもなく勝手に持っていくからね……ツケだとか死ぬまで借りるとか言って。君とは比べようもないよ」
「そ、そうかっ……」

 布都は満更でもなさそうにはにかんで、またネコミミをしきりに触ったり、髪を指でくしくししたりしていた。

「な、なるほど……つまり我は、霖之助のとくべつということなのだな?」
「まあ……語弊のありそうな言い方だが、間違ってはいないよ。君ほどの上客とはなかなか巡り会えないしね」
「そ、そうかそうかっ……」

 くしくし。

「と、ところでこのかちゅーしゃ、似合っておるか?」
「ん? ……さっきも言った通りだけど、かわいらしいと思うよ?」
「そ、そうかそうかそうかっ……」

 くしくしくしくし。
 えへへ。

「……君、大丈夫かい?」
「……はっ」

 我に返った布都はうわわっと慌てて、

「そそそそそっそういえば、今の世には『招き猫』という道具があるそうだなっ。この前人里で学んだぞ!」
「ほう」

 霖之助は中指で眼鏡をクイと持ち上げた。本人に自覚はないが、これは霖之助の中で蘊蓄スイッチが入った合図である。ほとんどの知人友人はこの時点で己の失言を激しく後悔して、話題を逸らそうとあれこれ努力しなければならなくなる。
 そして布都は、その『ほとんど』に該当しない数少ない少女の一人である。霖之助が勘定台の上に両肘を置くと、眼鏡が謎の光を反射してキラリと光った。

「――招き猫。言わずと知れた、幸運を招くという縁起物のひとつだね。そもそもネコは、元は養蚕業において、蚕の天敵であるネズミを駆除してくれることから、豊蚕祈願の縁起物として祀られていたという。だが養蚕が衰退するに連れて、次第に養蚕だけに囚われない幅広い商売繁盛の象徴へと意味合いが変化していった。招き猫の由来は諸説あるが、江戸時代の大名・井伊直孝の逸話に起源を求めるものや、今戸焼という陶磁器が発祥とするものなどが有名だね」

 もちろん、布都はふんふんとしきりに頷きながら拝聴している。

「布都、君が見た招き猫はどっちの手を上げていたか覚えているかい?」
「えっと……右手!」

 布都が、にゃん! と右手を猫の形にして上げた。

「右手を上げている招き猫は、主に金運を招くといわれている。そして左手を上げている招き猫もあって、こちらは千客万来や縁結び――所謂、『人』にまつわる幸運を招くそうだよ」
「そうなのか! ……なら、両手を上げれば最強だな!」

 にゃーん! と左手も上げた。

「ちなみに手を上げる高さにも意味があり、高ければ高いほどより遠くから縁を招いてくれるといわれている」

 元気いっぱいに万歳をしている。

「しかし両手を上げた招き猫は、お手上げ(・・・・)になるから逆に縁起が悪い、とする考え方もあるようだ」

 慌てて下げた。
 霖之助はようやく、

「……君、さっきからどうしたんだい?」
「う? ……我がこうしてれば、香霖堂に客が来るかと思って!」

 つまりは招き猫の真似事らしい。また、にゃん! と左手を上げた布都の微笑ましさに、霖之助は苦笑して、

「気持ちはありがたいけど、それとこれとは話が違うと思うよ」
「む、そんなことはないぞ! ネコになれるこのかちゅーしゃと、幸運を招く招き猫の力と、我の風水を操る力が合わされば最強だ!」

 布都は千客万来の左手をぴこぴこと動かす。

「いやしかしね、それで本当に客が来るんだったら苦労は――」
「――あのー、すみませーん」

 カランコロン、と。
 いや待てそんなアホな、と思いながら霖之助は振り向いた。香霖堂の入口に、見慣れない天狗の少女が立っている。キョロキョロと物珍しそうに店内を見回して、

「あのー、ここで道具の修理を請け負ってもらえると聞いたんですけど」

 ……そんなアホな。

「……あれ、もしかして違いましたか?」
「……あ、ああいや、違わないよ。ようこそ、香霖堂へ」

 我に返った霖之助は間に合わせの接客をしながら、その脳裏で思考をフル回転させた。――ありえるのか、こんなことが。布都が招いたら本当に客が来た。しかも一見の客が。咲夜や慧音のリピーターではなく、霊夢や魔理沙の冷やかしでもなく、完全に新規の客を迎えるのは一体いつ以来の話だろう。まさか『ネコミミカチューシャただのアクセサリー説』は間違いで、実は幸運を呼び込む正当なマジックアイテムの類だったのか――いやいやこんなものは単なる偶然かもしれない。というか、偶然と考える方が圧倒的に自然だ。招けば客が来るという都合のよすぎる展開など、そう簡単に認めてなるものか。よって、どやーっと胸を張っている布都はいくらなんでも気が早すぎるというものなのだ。
 霖之助に促され店へ入ってきた少女が、布都に気づいた。

「あれ? なんだかかわいい子がいますねー。確か、幻想郷に道教を広めて回ってる……」
「うむ、いかにも我が物部布都であるぞ!」

 布都は、どやーっとしたまま自己紹介をした。少女は微笑み、

「どうしたの、ネコミミなんかつけて」
「これは霖之助が手に入れてきたものだ。いつも閑古鳥が鳴いておるこの店のために、我が招き猫になろうと思って!」
「招き猫?」

 少女は目を丸くして霖之助を見、霖之助がなにも言わず肩を竦めると、クスッと柔らかく吹き出した。

「そっかあ。じゃあ、私は招き猫ちゃんに招かれちゃったのかな」
「うむ、違いない! さあさあ本日はどんな御用だ? 霖之助は博識だからなっ、道具のことならなんでも任せて間違いはないぞ!」
「こらこら、勝手に太鼓判を押さないでくれ」
「なにを言う! 霖之助の凄さは、我がよ~っく知っておるぞっ!」

 ああ布都、そんなにキラキラした目で僕を見ないでおくれ。だって僕は未だに、そのカチューシャがただのアクセサリーなのか、それともなんらかのマジックアイテムなのかもよくわかっていないような男なんだ。僕は至ってしがない半妖であり、生憎ながら君が思ってくれているほど大層な男じゃあないんだ。
 と、純粋すぎる布都を見ていると辛くなるときがしばしばある。
 少女がすっかりニヤニヤしており、

「ほほーう、これはかなり期待できそうですねえー」
「任せておくがよい!」

 布都、勝手に話を進めないでくれ。
 とはいえ、霖之助の返事はとっくの昔に決まっている。

「……道具の修理、だったね?」
「はい。母の代から使ってるやつなんですけど――」

 一見の客となれば香霖堂に是非よい印象を抱いて帰ってもらいたいし、用件が道具の修理となれば曲がりなりにも道具屋の血が騒ぐ。
 それに――布都の目の前で、みっともない姿は晒せないのだ。

「まずは、少し見させてもらうよ」
「どうぞー」
「霖之助っ! 我、お茶の支度をしてくるぞ!」
「ああ、ありがとう」

 店の奥へすっ飛んでいった布都の背中を見送り、少女がまたくすりとこぼして、

「かわいらしい招き猫ちゃんですね」
「果たしてこれはただの偶然なのか、それとも招き猫が招いた御利益なのか……」
「ひょっとしたら、これから商売繁盛かもしれませんよぉ」

 茶化した口調で言う少女に、霖之助は小さく苦笑いを返した。

「そんなまさか」

 そう――このときはまだ、ただの偶然だと思っていたのだ。





「――それじゃあ明後日には仕上げておくから、その頃に取りに来てくれ」
「わかりましたー」
「またのご来店をーっ!」

 すっかり香霖堂の店員気取りな布都と一緒に少女を見送ると、店にもとの静けさが戻ってきた。
 ――のはほんの一瞬で、すぐに布都がはしゃぎ始めた。霖之助の袖を掴んでぴょんぴょん飛び跳ね、彼女は興奮冷めやらぬ様子で、

「ほら見ろ霖之助っ、ちゃんとお客さんが来たではないか! 我が香霖堂の招き猫だぞっ」
「来たね。来たけど……」

 どやーっとする布都とは対照的に、霖之助はあくまで冷静である。

「一回くらいなら偶然じゃないかい?」
「……むーっ! 霖之助は、お客さんが来て嬉しくなかったのか!?」
「嬉しかったさ。しかし、それとこれとは話が違うよ」

 無論霖之助とて、この店を毎日客足の絶えない人気店にしたいとまでは思わないものの、一度くらいはネコの手も借りたいほど忙しくなってみたいという欲くらいはある。そしてそれは、店自体の魅力や仕事の質といった評価を積み重ねた結果としてもたらされるものであって、なんだかよくわからないけど運よく繁盛してました、という棚からぼた餅な展開は少し違うと思うのだ。

「ともかく、一回だけではなんとも言えないよ。そうだね、このあとまた一見のお客さんが来るようなことがあったら、さすがの僕も考えるけど」
「ごめんくださーい」

 なん……だと……?
 カランコロン。霖之助は愕然としながら入口を振り向く。今後は河童と思しき、やはりはじめて見る少女が立っていて、

「あの、ここでマジックアイテムの鑑定をやってるって聞いたんですけど」

 どやどやーっと胸を張る布都の誇らしげな顔が、ネコミミもあいまってとても印象的だった。








「――すみませーん、ちょっと道具を探してるんですけどー」
「あのー、ここで服の修繕を請け負ってると聞きましてー」
「マジックアイテムの合成をしてくれるってほんとですかー?」
「道具の注文ってやってますかー?」
「これ、使わなくなったので買い取りをお願いしたいんですけどー」

 と。

「そんな……バカな……」

 その日の営業が終わってみれば、霖之助は、香霖堂の帳簿に近年稀に見る桁の数字を書き込みながら愕然とすることとなっていた。
 そしてその横ではネコミミな布都が、えへんえへん! と元気に胸を張っていた。

「ほれほれ、もう疑う余地などないであろう! やはり、このかちゅーしゃと我が合わされば最強なのだ!」
「……むう」

 なぜかそこはかとない敗北感を味わいながら、霖之助はゆるゆると椅子の背もたれに重心を預けた。

「……不思議なこともあるものだね」

 ここまでになってしまえばこのネコミミカチューシャ、本当に摩訶不思議な力を秘めたマジックアイテムかもわからない。布都にあげてしまったのは少し早計だったかもしれない。今更「やっぱり返してくれ」なんて、みっともないので言えないけれど。

「うむっ、さすがは霖之助だ! 拾ってきた道具がこのような力を持っておるのだから、霖之助には優れた道具を引き寄せる力があるに違いないっ」

 すごいのう、すごいのう、と目を輝かせる布都の仕草がなんともくすぐったい。もちろん霖之助にそんな力があるはずもなく、単なる布都の思い込みと過大評価なのだが、そうやって自然に人を認められる彼女の人柄は非常に好ましく、また少しだけ羨ましくもあった。
 本当に、甘やかされるのが上手な子だ。

「なにはともあれ、今日はありがとう。君のお陰で久し振りにやり甲斐のある店番だったし、手伝ってもらえて助かったよ」
「そ、そうかっ……」

 布都が嬉しそうに、癖なのか、また髪の先っちょを指でくしくしした。それからいきなり、

「よぉし! じゃあ我、明日もまた招き猫するからっ!」
「え?」
「え? ではないっ。霖之助は店を繁盛させたくないのか?」

 そんなことはない。ただ、明日も布都に手伝ってもらおうとはまったく考えていなかった。今回は成り行きで手伝ってもらっただけだし、そもそも彼女は香霖堂の店員ですらなく、ここの手伝いより優先される用事のひとつやふたつはあるはずなのだ。それは霖之助が、店を繁盛させてみたいという極めて横着な欲で縛っていいものではない。

「君にも他に予定はあるだろう? 無理はせず明日はそっちを」
「え? 特にないけど……」
「……そうか」

 どうやら布都は、霖之助が言えた義理でもないが、結構暇らしかった。
 布都はなにやら察した顔で、

「なるほど……さては霖之助、このかちゅーしゃの力をまだ疑っておるな? なればこそ明日も試してみるべきだ! 偶然も二度続けて起これば必然だからなっ」

 と元気に言ってから、一秒もしないうちにしゅんとなり、

「そ、それとも霖之助は……我にお手伝いされると、迷惑かっ……?」
「い、いや、そんなことはないよ」

 霖之助は速やかに否定した。布都のような小さい女の子に泣きそうな顔をされるのは、どうもいかんせん苦手なのだ――この場を口の軽い魔法使いや文屋に見られでもしたら、あっという間に言い触らされて僕の世間体が終わる、という意味で。以前布都から誘われた宴会を断ろうとしたときも、その場でマジ泣きされてとても心臓に悪い思いをした。
 布都は、霖之助以外の男が喰らったら昇天しそうな上目遣いで、

「……めぇわくじゃない?」
「じゃないじゃない。君さえよければ、明日もまた頼むよ」
「わかった! もぉー我にばっちり任せておくがよいっ!」

 ひょっとして僕は嵌められたのだろうか、とコロッと笑顔になった布都を見ていると思う。そして、その百点満点の大輪の前ではまあそれでもいいかと思わされてしまうのだから、彼女には意外と、無自覚にして人をいいように動かす油断ならない力が備わっているのかもしれない。伊達に権謀術数渦巻く古代日本を生き抜いてきたわけではないのだ。
 そんなこんなで。

「今日でこの調子なら、明日はまさに千客万来であろう! 香霖堂の名が幻想郷中に知れ渡る日も遠くはないぞ!」
「そんなに上手いこと行くかなあ……」
「見ておれーっ」

 長い袖をぱたぱた振って気合を入れる、大変元気いっぱいな招き猫――もとい、招き布都。彼女が香霖堂にもたらすのは客か、金か、はたまたそのどちらともか、どちらでもない別のなにかか。
 どうあれ賑やかになるのだけは間違いなさそうだったので、霖之助はそっと笑みのため息をついた。





 ○


 で。

「……布都。僕は今、今まで書いた覚えのない桁違いの数字を帳簿に書き込んでいるんだが」
「すごいすごいっ!」

 めちゃくちゃ儲けた。
 香霖堂開店以来一度も記憶にない、異様なまでの大盛況だった。
 正直霖之助は、接客をしながら「これは夢ではないか」と三十回くらい考えた。そりゃあそうだ、だって普通の客が一人いるだけでも珍しい香霖堂が、その普通のお客さんで所狭しと、まるで居酒屋かなにかのように賑わっていたのだから。
 いろいろな客が来た。一番多かったのは、「へーこんなところにこんなお店があったんだー」といった具合でふらりとやってきては商品棚を物色し、「あははなにこれ変なのーひとつください」とやたら軽いノリで道具を買っていく、なんだかよくわからないお客さん――ちゃんと買い物をしてくれた相手をこう評すのもどうかと思うが――である。霖之助が「なんだかよくわからないしガラクタっぽいけどとりあえず並べておこう……」くらいの気持ちで置いていた商品も売れた。不覚にも、「こんなもの買ってなにに使うんだい?」と尋ねたくなったのは一度や二度ではなかった。もはや摩訶不思議を超えて、霖之助では理解も及ばぬ純然たる怪奇現象だった。
 もちろん客はそればかりでなく、道具の修理、服の修繕、マジックアイテムの鑑定、使わなくなった道具の買い取り、エトセトラエトセトラ。客から預かった品々の数は十以上にのぼり、今宵は徹夜になるかもしれない香霖堂店主である。
 まあ、一日二日徹夜する程度は半妖の身の上なのでどうにかなる。それよりも問題なのは、

「ふふふ、もうこれで確定だ! やっぱりこのかちゅーしゃはすごい力を持っておるのだっ!」

 どやーっどやーっな布都の頭の上でぴこぴこ動いている、ネコミミカチューシャである。
 ……そう、あのネコミミ、今日になっていきなり布都の感情に合わせてぴこぴこ動くようになったのだ。一体なにがどうなっているのか、霖之助にはさっぱりわからない。
 しかも、なにかカラクリがあるのではと思って触ろうとしてみると、途端に布都が頭を押さえて仰け反って、

「あうっ。い、いきなり触るでない、くすぐったいではないかっ」

 触覚まで生まれている……だと……?
 しかし、布都がそのことを疑問に思っている素振りはまったくない。おかしいのは霖之助か、世界か。

「……本当に、不思議なこともあるものだね」

 心の底からそう思う。霖之助の中では、これはもはや異変だった。今日は霊夢と魔理沙は来なかったが、客で賑わう香霖堂と布都の動くネコミミを見れば、彼女たちもきっとそう思うであろう。よし、これを招き布都異変と名付けよう。

「どうだ霖之助っ。お店が繁盛して嬉しいであろう!」
「……まあ、ね」

 とは、いえ。
 帳簿に書き込んだこの数字がたとえカチューシャによってもたらされたものだとしても、異変だとしても、本を読む暇もないほど忙しい状況はなかなかどうして悪くなかったし、それなりに充実もしていた。霧雨道具店での修行時代を思い出すような、すっかり錆びついていた商売人の血が沸き立つような。
 霖之助の答えがよほど嬉しかったのか、布都はぶんぶんと長い袖を振って、

「よぉし! 我、明日も招き猫するっ」
「そうか。じゃあ、またお願いしようかな」

 もはや断りはしない。「や、やっぱり我のお手伝いはめぇわくだったのだなっ……?」と泣かれるのが目に見えている。
 もちろんそればかりが理由ではなく、もう少しこの慌ただしくも充実した感覚に浸ってみるのも吝かではなかったし、今のうちに蓄えを作っておくのも悪くないかもしれない。商品の在庫にはまだ余裕がある。半妖の霖之助にとって、金はなくてもなんとかなるものだが、もちろんあるに越したことはないのだ。
 なので霖之助は、微笑んで言った。

「今日はありがとう。明日もよろしく頼むよ、布都」
「うんっ!」

 元気いっぱい頷いた布都の頭の上では、やはり作り物であるはずのネコミミがぴこぴこと揺れていた。





 ○


 布都は、そりゃあもうめちゃくちゃ有頂天だった。だって、霖之助の役に立てたのだ。霖之助に喜んでもらえたのだ。この嬉しさは、上司である豊聡耳神子の役に立てたときにだって勝るとも劣らない。風となって走れそうだし、なんの術も使わずとも空だって飛べそうだった。
 昨日今日と続いて、まさにいいこと尽くしだった。昨日は、ねこみみかちゅーしゃがとても似合っていてかわいいと言ってもらえた。今日は、お客さんをたくさん招けたお陰で喜んでもらえた。そして極めつけは、お仕事が終わると霖之助が掛けてくれる「ありがとう」だ。そんじょそこらの「ありがとう」ではない。霖之助が、布都のためだけに掛けてくれた「ありがとう」なのだ。こんなの嬉しくならない方がどうかしている。
 だから布都は、これから毎日、大事な用が割り込まない限りは招き猫を続けようと思った。霖之助はお店が繁盛して嬉しいし、布都だって霖之助の役に立てて嬉しい。最近の言葉では、こういう双方利益のある関係を『うぃんうぃん』というらしい。今の布都と霖之助は、まさに『うぃんうぃん』の間柄なのだ。
 なので布都はお手伝いが終わるとまっすぐ道場に帰るし、疲れを残さぬよう以前より早めに就寝する。明日も霖之助の役に立てるといいなあ、と思いながら。そんな夢だって見ながら。
 これからは今までにも増してもっと楽しく、素晴らしい毎日になるであろう。
 このとき布都は、露の疑いもなく信じていたのである。

「霖之助っ、おはよー!」

 状況が変わったのは、翌日、布都が香霖堂に突撃して間もなくだった。

「おはよう、布都。いらっしゃい」
「うむっ。……霖之助、もう仕事をしておるのか?」
「……ああ。まあね」

 まだお店を開ける前にもかかわらず、霖之助は帳場の上にたくさんの道具を広げて仕事をしているようだった。布都にはわからない物ばかりだが、たぶん、一昨日持ち込まれた道具の修理をしているのだと思う。さすが霖之助だ、と布都は目を輝かせた。お客さんの要望に余すことなく応えるため、営業時間外でも決して労力を惜しまない――まさに商売人の鑑である。ひょっとすると布都の招いたお客さんたちが、霖之助の眠れる商売人の血を呼び覚ましてしまったのかもしれない。どうしよう、これでは香霖堂がもっと繁盛してしまう。出世街道まっしぐらだ。
 霖之助は苦笑、

「そんな目をしてくれているところ悪いんだけど、これはむしろ僕の失態なんだ」
「え? ……どうして?」
「店があんなに賑わったのははじめてで、つい嬉しくなってしまったからかな。調子に乗って安請け合いをしてしまって……実は、徹夜でもしないと間に合いそうもない状況なんだ」
「え――」

 屠自古に電撃びりびりされたような衝撃が布都を襲った。

「じゃ、じゃあ霖之助……まさか寝ておらぬのか!?」
「そういうことになるね」

 布都は言葉を失った。昨日布都が香霖堂を後にしてからずっと、彼はここで一睡もせず仕事をし続けていた――その光景を脳裏に思い描いた瞬間、『商売人の鑑』なんて言葉は木っ端微塵に吹き飛んでしまった。布都は血相を変えて霖之助に詰め寄り、

「だっ、ダメではないかそんなのっ! 今からでも休まなきゃ……!」
「心配要らないよ、僕は半妖だからね。二日三日徹夜するくらい、どうってことないよ」
「で、でもっ……」

 もちろん知っている、霖之助が半妖の体質に物を言わせて普段から不養生な生活を送っていることくらい。しかしそれは今までの、日がな一日店で閑古鳥が鳴いていた状態での話だ。客が来ないからやることもなく、本を読み耽るか道具をいじるかばかりで疲れは溜まらず、元々あまり休息を必要としない半妖の体質も災いして、結果として睡眠時間がおざなりになる。それだけでも布都にとっては信じられないくらいの不養生なのに、一睡もしないで仕事をし続けていたとなれば、もはや一切冗談抜きで信じられなかった。
 だが霖之助は布都の心配など露も知ろうとせず、微笑んで言うのだ。

「仕方ないよ。店が繁盛すればその分仕事が増える。仕事が増えれば、寝るわけにはいかない日だって出てくるだろう。今は君が手伝ってくれているとはいえ、基本的に僕一人がやっている店だからね」
「――……、」

 そのとき布都は、とんでもない事実に気がついてしまった。
 お店が繁盛すればするほど、霖之助の仕事が増える。仕事が増えれば増えるだけ、霖之助は寝る時間も取れないくらいに忙しくなる。
 つまり布都がねこみみかちゅーしゃを使ってお客を招けば招くだけ、霖之助に負担を掛けてしまう――。

「しかし、寝る間も惜しんで仕事をしたのなんて随分と久し振りだ。なんだか修行時代を思い出すなあ」

 でも、霖之助はなんだか楽しそうだ。布都に道具の知識を教えてくれているときと同じくらい楽しそうに見える。お店が繁盛して嬉しいと彼は言っていた。布都の力で彼に喜んでもらえるなら、それはすごく素敵なことだと思うし、だから布都は、今日も招き猫をしようと思って仙界から遥々やってきたのだ。
 それが今ここに来て揺らぐ。
 自分がやっていることは、本当に霖之助のためになっているのだろうか。寝る間も惜しんで働き続ける。それは本当に、霖之助にとってよいことなのだろうか。
 霖之助は楽しそうで、お店だって儲かっていて。
 でもその陰では、睡眠すら摂らないで無理をしている。

 ――霖之助が笑っているのだからよいではないか。このまま続けるべきだ。
 ――いや、だからって徹夜で働き続けるなんておかしい。もうこんなのはやめるべきだ。

 まるで異なる二つの声が、布都の心をぐらぐらと揺れ動かす。
 そしてやはりというべきか、霖之助はそんな布都の葛藤をまるで知らずに言うのだ。

「……ん、もうこんな時間か。そろそろ店を開けよう」
「あ、」
「それじゃあ、今日もよろしく頼むよ。布都」

 為す術もなかった。
 霖之助に、優しい顔で「頼むよ」と言われて。なのにやっぱり嫌だと首を振るなんて、今の布都にできるはずもなくて。
 だから布都は、なにも言えないまま、

「……う、うん」

 香霖堂を繁盛させて、霖之助に喜んでもらいたい。
 でも、無理をしてお仕事もさせたくない。

 ――我は一体、どうしたいのだろう。





 とはいえ、始まってしまったからには仕方がない。布都はもやもやした気持ちを強引に切り替え、自分の本来の役目に集中することにした。ともかく今日一日招き猫をやり通せば、自分がどうしたいのかも見えてくるだろうと思った。
 しかして本日も、香霖堂の客足はなかなか順風満帆だった。満員御礼というほどではないけれど、それなりにお客さんがいてそれなりに賑わっている。そんな中で布都は、少しでも霖之助の役に立つためにお手伝いを――しようと思っていたのが、つい一分ほど前の話である。

「あっははは、ほんとだー! かわいい招き猫ちゃんがいるーっ!」
「あーっ、待ってこっち来てー!」
「う、うわわわわわっ」

 香霖堂の狭い店内で布都は、自称かわいいもの好きな女性客たちからやんややんやと追いかけ回されていた。
 さすがの布都も予想外だった――よもや、香霖堂の商品ではなく自分を目当てにやってくる客が出てこようとは。彼女らは来店するや否や、商品棚にはまるで目もくれず布都を取り囲んで、きゃーきゃー騒ぎながら頭を撫でたりほっぺたをつっついたりしてきたのだ。そして遂にネコミミまで触られそうになったため、ええいばかばか我のネコミミに触っていいのは霖之助だけだ! と逃げ回っているのである。
 が、元々狭い店内がそこそこのお客さんで更に狭くなっている以上、ものの十秒足らずで布都は追い詰められた。

「つっかまーえーたーっ!」
「あう!? は、はーなーせーっ!」
「いーやーでーすーっ!」

 後ろから腰に両腕を回され、そのまま為す術もなく抱き上げられる。布都は咄嗟に暴れようとしたが、大切な商品を蹴飛ばしてしまうかもしれないと気づき思い留まる。そしてその隙に、右も左もあっという間に包囲されてしまった。布都はひいいいと戦慄しながら、せめてネコミミだけは両手でしっかりガードした。
 布都を取り囲む女性客たちからブーイングがあがる。

「えー、ネコミミ触らせてくれないのー?」
「ちょっとだけ! ちょっとだけでいいから!」
「く、くすぐったいからダメっ! ……あっこらっ、だからダメだってば!」

 迫り来る魔の手をネコパンチで必死に撃退する布都を見て、接客途中の霖之助は苦笑いだった。

「こらこら、あまりその子を困らせないでやってくれよ」
「いやー、話には聞いてましたけどほんとかわいいですねー。店主さんのお子さんですか?」
「違うよ。僕は半妖だが、その子はれっきとした人間だ」
「ご結婚とか、されてないんですかー?」
「生憎、縁がなくてね。……っと、ちょうどお預かりしたよ。では、またのご来店を」

 会計待ちの客が数人並んでいるので、霖之助もそれ以上布都を助けてはくれない。なので布都が頑張ってネコパンチを続けていると、女性客たちが矢庭に身を寄せ合ってひそひそ話を始めた。

「……ね、どう思う?」
「うーん……案外悪くないんじゃない?」
「……う? なんの話だ?」

 女性客たちは、とっても面白そうな顔をしながら布都にすり寄って、

「招き猫ちゃんもそうなんだけど、店主さんも結構噂になってるんだよ。意外とカッコいいって」
「む、『意外と』ではないぞ! 霖之助は実にカッコよくて優しい男だ!」
「「「かーわーいーいーっ!」」」

 さりげなくネコミミを触ろうとしてきた女性客に、布都はすかさずネコパンチをする。女性客は「ありがとうございます!」となぜか嬉しそうにお礼を言う。霖之助が、帳場の方でげふんげふんと咳払いをしている。
 女性客たちは更に小声で、

「一見無愛想っぽいけど、だからこそ時折見せるほのかな営業スマイルが印象的かも……」
「声も結構ステキだし……」
「敬語じゃない接客ってのも、なんか逆に新鮮だよねー……」
「うーん、こんなところにこんな良物件があったなんて……」

 布都は俄に誇らしくなった。霖之助の魅力が、女性客たちにも伝わって嬉しかった。なるほどそうか、香霖堂にお客さんが増えればその分だけ霖之助の魅力を知る人も増え、彼が道具に深く通暁する仙人が如き男だと知れ渡るようになるかもしれない。そうすれば霖之助が、霊夢や魔理沙から朴念仁だの甲斐性ナシだのとバカにされることもなくなる。それは一向に吝かではなかった。
 ううむ、と布都は唸った。霖之助の仕事が大変になってしまうのは心苦しいが、長い目で見てみれば、やはり招き猫を続ける方が彼のためになるのだろうか。いやいや、でもでも。
 と難しい顔で考え込む布都を余所に、布都を抱きかかえている女性客が、

「店主さーん、ただ今お付き合いしている女性はいますかー?」
「……いや、生憎それも縁がなくてね」
「ここに、この前彼氏にフラれて傷心中の女の子がいまーす」
「……そうか」
「絶賛彼氏募集中でーす」
「……」
「店主さん、結構いいかなって思ってまーす」
「!?」

 布都はようやく我に返った。ちょっと待てこの女いまなんて、

「どうですー? ここはひとつ、恋仲を前提にお友達から」
「がぶ!!」
「いった――――――――ッ!?」

 布都は自分をホールドしている憎っくき腕に容赦なく噛みつき、女性客が飛び上がった隙をついて素早く脱出した。霖之助のところまでまっしぐらに駆け抜け、ぱっと両腕を広げて、

「り、霖之助はダメっ! ダメだぞ!」

 噛みつかれた場所を涙目でさすっている女性を除き、他の女性客は皆一様にパチクリと布都を見つめ、
 五秒、

「「「――かーわーいーいーっ!!」」」
「ふぎゃあああああ!?」

 みんな寄ってたかって布都を揉みくちゃにした。布都の頭を撫でたりほっぺたをむにむにしたりながら口々に言う、

「あーもーほんとかわいいーっ! なに今の反則ーっ!」
「つまり今のは、ご主人様を泥棒猫から必死に守ろうとする子猫ちゃんってことね!? ……萌えるッ!」
「はあ、こんな妹がほしかったなー」
「ねえ、今度私の店でも招き猫してくれない? 一日だけでいいから!」
「あ、あうあう、」

 だから、布都のネコミミを触っていいのは霖之助だけだと、

「それにしても、このネコミミどうなってるんだろう……ひくひく動いてまるで本物みた」
「ふか――――――――ッ!!」
「ふわひゃあっ!?」

 女性客どもを渾身の大喝で吹っ飛ばし、布都は霖之助の後ろに逃げ込んだ。

「りんのすけっ、こやつらがいじめる!」

 すっかり頭を抱えていた霖之助はため息をついて、

「君たち、ここではそういうサービスはやっていないよ。さあさあ、布都を困らせた迷惑料に、商品のひとつでも買っていっておくれ」
「ぶー。店主さん、ちゃっかりしてますねー」
「ここは、道具屋だからね」

 布都が噛みついてやった女性が手を挙げ、

「はいはーい、まださっきのお返事もらってませーん」
「君には、もっと素敵な男性が見つかると思うよ」
「いけず! 傷心の女の子を慰めてあげようとは思わないんですか!」
「それだけ元気があれば大丈夫だ」
「コンチクショーッ!」

 布都はほっとした。そうだ、霖之助がどこの馬の骨とも知れない女と恋仲になるなんて絶対にダメだ。だって、霖之助は布都のものなのだから。一万歩譲っても、布都が心の底から認めた女でなければならないのである。
 しかし、これは已むを得ないものであろう。霖之助はカッコいいし優しいし、仙人が如き目覚ましい知識を持っているので、偶々やってきた女が偶々魅了されてしまったりもするだろう。つまり、布都がお客さんを招けば招くほどその確率はハネ上がるわけで、

(――って、それはダメではないか!?)

 布都は愕然とした。霖之助が昨夜徹夜をしていたと知ったとき以上の、とんでもない衝撃の事実に気づいてしまった。
 そうだ、どうしてここに思い至らなかったのだろう。招き猫の力で香霖堂にお客さんが増える――それはすなわち、霖之助に近づく悪い虫まで増えるということとほぼ同義ではないか。

(な、なんということだ……)

 戦慄せざるを得なかった。布都は今まで、この店を訪れるたびに霖之助とたくさんお話をして、様々な道具の知識を授けてもらってきた。そしてそれはひとえに、香霖堂で日頃から閑古鳥が鳴いていたからに他ならなかった。他にやることもないから、霖之助はいつだって快く布都の相手をしてくれたのだ。
 だが、その理屈はもう通用しない。だって今や、香霖堂にはたくさんのお客さんがやってきているのだから。霖之助が相手をすべきなのは布都だけではないし、霖之助と話をしたがっているのだって布都だけではない。お客さんへの対応、商品の説明、お会計、道具の修理、服の修繕、マジックアイテムの鑑定――今の霖之助にはたくさんのやるべきことがある。寝る暇だってなかったほどなのだ、布都の相手をしている暇などもっとなかろう。
 そう思ったら、どうしようもなく布都は不安になってしまった。不安になってしまって思わず、

「り、りんのすけ、」
「うん?」
「あ、あの……また、道具のこと」

 しかしやはり、現実は無情だった。

「あのー、店主さーん。この商品なんですけどー」
「はいはい。……すまない布都、また後にしてくれ」
「あ、」

 ――ああ、やっぱり。
 遠ざかっていく霖之助の背を見つめながら、布都は完膚なきまでに理解した。せざるを得なかった。
 香霖堂が繁盛すればするほど、霖之助は自分から離れていってしまうのだと。
 そういえば、布都がこのかちゅーしゃとともに招き猫をはじめてからというもの。
 一度も、道具のことを教えてもらっていない。一度も、仕事以外のお話で笑い合ったりしていない。
 今までは、たくさんたくさんやってきたことのはずなのに。
 今は、もう。

「……」

 香霖堂が繁盛すれば、霖之助だって布都だって幸せになれると思っていた。店主の霖之助が商売繁盛を喜ぶのは当然だし、布都だって、喜ぶ霖之助の姿を見て幸せになれるはずだった。
 でも……でも、なんだろう。

 ――なんだかこれは、思っていたのと違う。





 ○


 気がついたときには、布都がしょんぼりしていた。
 いつ、なにが原因だったのかはとんと記憶にない。霖之助自身、誠に不覚な話だが、接客に集中するあまり彼女の存在をすっかり忘れてしまったからだ。昼になって客の流れが一段落し、少し休憩するか、おやそういえば布都はどこに行ったんだろうと捜してみたところ、彼女は帳場の陰に隠れてしょんぼりと体育座りをしていた。
 霖之助は目を丸くした。

「こんなところでなにをやってるんだい、布都?」

 ネコミミが力なくへんにゃりと垂れている。天真爛漫が服を来て歩いているような少女が、ここまでおおっぴらに落ち込んでいるのも珍しい。元々薄暗い方である香霖堂の店内が、布都の周りだけ一層暗く、どんよりとしているように見える。

「どうかしたのかい?」

 布都は答えない。

「……どこか、具合が悪いとか?」

 ふるふると首を振る。霖之助は少し考え、

「……なにがあったのか、僕に教えてくれないかな?」

 可能性としては、自称かわいいもの好きな女性客たちから、それこそネコのように揉みくちゃにされていた光景が反芻される。布都はネコミミを付けてこそいるものの、もちろんネコなどではなく人間である。見ず知らずの他人からああも馴れ馴れしく扱われれば、いくら布都とて機嫌を損ねたりもするのかもしれない。仮に霖之助が布都の立場だったなら、とっくの昔に堪忍袋の緒がブチ切れていただろうし。
 布都がぽそりと、なんとも元気なく答える。

「……我、とんでもないことに気づいてしまったのだ……」
「とんでもないこと?」
「それで……招き猫なんてしない方がいいんじゃないかって、思ってて」

 ふむ、と霖之助は顎に手を遣った。つまり布都は、自分が招き猫を続けることで発生する問題点に気づいた。そして、それがあまりにとんでもないものだったせいで落ち込んでいる――ということだろうか。
 ……さっぱり見当がつかない。

「どんな内容か、訊いても?」
「う……」

 布都は言い淀んで答えようとしない。霖之助は俄に不安を覚えた。答えようにも答えられないほどとんでもない問題点とは一体――ウマい話には裏があるというわけではないけれど、やはりこんな方法でしめしめと客を集めるのは間違いだったのだろうか。バチが当たる前にやめるべきなのだろうか。違う、言い訳をするなら決して下心があったわけではなく、布都がやる気満々なのに断るのは悪いと思ったし霖之助自身仕事に打ち込む充実感を久し振りに思い出してしまったからであってまさかそんな金儲けをする絶好のチャンスだなんてぜんぜんちっとも

「――こおおおおおり――――――――んッ!!」

 お出ましである。
 いつも狙いすましたタイミングでやってきては流れをブチ壊していくと評判の、普通の魔法使いこと霧雨魔理沙である。
 例によって香霖堂の戸をブチ抜いて突撃してきた彼女は、ほうきから降りるなり霖之助に掴みかかって、

「き、聞いたぜ! 聞いたんだぜ!? 布都にネコミミつけてペットプレイを強要してるって!?」
「よしわかった、鴉天狗の連中だな?」
「うん」

 やはりヤツらは霖之助の敵だ。
 魔理沙は勢いを取り戻し、

「ズル、じゃなかった羨ま、でもなかったけしからんぜ!! 私というものがありながらぁっ!!」
「魔理沙、落ち着いてくれ」

 深い意味は考えないでおくが、とりあえず自爆してるっぽい魔法使いである。

「ハッ――こ、香霖の変態!」

 理不尽。

「霖之助は変態じゃな――なんだ魔理沙か。まったく、あいもかわらず騒がしいやつで」
「ッシャオラァッ!」
「あーっ!?」

 布都が帳場の下からひょこりと顔を出した瞬間、魔理沙がものすごい勢いでネコミミカチューシャをかっさらっていった。

「な、なにするのだ!?」
「う、うるさいうるさいっ! この下らんカチューシャがすべての元凶だな!?」

 さもありなん。
 初っ端から最高潮な魔理沙はそのままネコミミカチューシャをマスタースパークで焼き払うかと思われたが、急に大人しくなると帽子を脱いで、しずしずとカチューシャを装備し始めた。
 つけるのかよ、と霖之助は内心ツッコむ。

「……ど、どうだ? 似合ってるかな……」

 魔理沙はなにをやっているんだろう、と疑問に思いながらも霖之助はとりあえず答える。

「似合ってると思うよ。かわいらしいじゃないか」

 家族同然の付き合いが長いせいで失念してしまいがちだが、魔理沙は至って申し分ない美少女である。下地がしっかりしていれば、大抵はどんなものでも似合ってしまうものなのだ。
 魔理沙が少し嬉しそうな顔をして、布都が「むっ」と口をへの字にした。魔理沙は更に、

「ど、どれくらい似合ってる?」
「……難しいことを訊くね」

 どれくらいかと問われれば『普通に』似合っているのだが、そう答えたらなんだか怒られそうな気がする。乙女心を理解するのは疾うの昔に諦めたけれど、付き合いが長ければそれくらいはわかるようになるのだ。
 かといって歯が浮くような美辞麗句を並べても、「香霖……なんか気味悪い……」と後ずさりされる気がする。やはり理不尽。

「な、なんだよ、そんなに悩まなくてもいいだろ……?」
「上手い例えが見つからないんだ。僕にそこまで期待しないでくれ」
「……まあ、香霖だしな」

 悪かったね。

「じゃ、じゃあ……」

 魔理沙は視線を逸らしがちになりながら、珍しくもちょっと怖々とした様子で、

「ふ……布都と比べたら、どっちが似合ってる?」
「……!」

 布都が全身を強張らせた。魔理沙と互いを()めつけ合い、バチバチと激しい火花を散らし始める。霖之助はそんな乙女の闘いにまったく気づかないまま、魔理沙を見て、ネコミミ姿の布都を思い出して、

「ふむ、それなら布都の方が似合ってたかな」

 布都がぱああっとたんぽぽみたいな笑顔になり、魔理沙はまさに「がーん!?」といった感じで涙目になった。また霖之助に掴みかかって、

「なっなななっ、なんでだよお! や、やっぱり香霖は、こういう小さい女が趣味なのか!?」
「今『やっぱり』と言った件についてはあとで詳しく話を聞こうか。……もちろん、ちゃんと合理的な理由があっての評価で」
「香霖のバカッ! あんぽんたん! おたんこなすっ! 朴念じゅみゅみゅみゅみゅみゅ!?」

 霖之助は魔理沙のほっぺたをむーいと引っ張って黙らせ、

「性格の問題だよ。布都は明るく伸びやかな性格で、長い眠いから覚めた影響もあっていろいろなものに強い好奇心を示しやすい。これは、例えるならまさに子猫のようだといえるだろう」

 魔理沙はほっぺたを涙目でさすり、布都は霖之助の話を聞いているのかいないのか、えへへと髪の先を指でくしくししている。

「だが魔理沙、君は違う。……まあ、あくまで僕のイメージだけどね」
「……なるほどな。わかったぜ、香霖の言いたいことが」

 涙目を引っ込め、魔理沙はどことなく布都へ誇るように胸を張った。

「つまりこういうことだろ? ――規律と礼節を重んじる淑女な私に、あんな子ども騙しのカチューシャなんて相応しくないって」
「むか!」
「魔理沙、そこの棚に辞書があるから『規律』と『礼節』と『淑女』の意味をそれぞれ五十回ずつ音読しておいで」
「まったくもう、そうならそうとはじめから言ってくれだぜっ」

 この子はきっと毎日が幸せなんだろうな、と霖之助は遠い目をしながら思う。
 布都がぷんぷんと頬を膨らませている。

「魔理沙が淑女だと!? 我、そんなの認めないっ!」

 奇遇だね、僕もだよ。
 魔理沙は聞く耳を持たず、

「じゃあ教えてくれ、香霖。淑女な私には、一体なんの耳が似合うんだ?」
「君、なんでそこまでこの話に拘るんだい?」
「いいから言えよおっ!」

 霖之助の裾をぐいぐいと引っ張って、魔理沙は駄々をこねる子どもみたいになっていた。やはり、彼女に『淑女』という言葉は十年ばかり早い――いや、魔理沙に限っては十年経っても怪しいか。
 ともあれ、そこまで言うのだったら正直に答えよう。

「そうだね、――タヌキかな」
「タ、」

 これはなかなか悪くない線だと霖之助は思っている。お調子者でいたずら好きで、よく人を困らせるけれど、たまに派手に失敗して痛い目を見たりと憎みきれない愛嬌がある。妖術でしばしば人を化かし、しかし同時にかわいげのあるキャラクターとして人々から愛された、伝承の中の化け狸を彷彿とさせるものがあるのではなかろうか。
 それになんとなくだけれど、魔理沙にはネコやキツネの尖った耳よりも、丸耳の方が似合う――気がする。
 うん、と頷いた。

「そうだね。魔理沙、君はタヌキだ」
「コンニャロ――――――――ッ!!」
「!?」

 魔理沙がいきなりカチューシャを窓から外にブン投げ、迸るマスタースパークでケシズミにしてしまった。
 あー!? と布都が悲鳴をあげた。

「なにするのだ魔理沙!? あれ我のーっ!!」

 魔理沙は聞いちゃいない。あふれる涙を振りまいて香霖堂を飛び出すと、「香霖のぽんぽこりんんんんん!!」と意味不明の捨て台詞を残して空の彼方に消えてしまった。
 静寂。

「……なんだったんだ、一体……」

 いいから言え、と言うから素直に言ってみればこれだ。すっかり黒焦げになったカチューシャが、地面の上でぷすぷすと香ばしい煙を上げている。変わり果てたカチューシャの姿に、布都が窓際にしがみついて涙目になっている。

「わ、我のかちゅーしゃあ……」
「あー、あれはもうダメだね」

 マスタースパークの熱で素材が焼けているわ溶けているわで、もはや原型を留めてすらいない。あの黒焦げのよくわからない物体を見て、元がカチューシャだったと気づける者はいないだろう。いくら道具の修理に精通する霖之助であっても、ひと目で修理不能と匙を投げる有様だった。

「せっかく、霖之助がぷれぜんとしてくれたのにぃ……」
「……すまないね、布都。僕が魔理沙を怒らせてしまったばっかりに」

 霖之助は、ネコミミがなくなった布都の頭をぽんぽんと叩いて慰めた。布都は少し恨めしげな上目遣いで、

「そ、そうだぞっ。さすがの我も、タヌキはどうかと思ったっ」
「返す言葉もないよ。魔理沙の気持ちを汲めなかった僕に責任はある」

 布都まで言うのであれば間違いはあるまい、霖之助は魔理沙の望む答えを返せなかったのだ。だから魔理沙は腹を立て、ネコミミカチューシャを焼き払って帰ってしまった。だったらはじめからなにをしてほしいのか教えてくれという話だが、彼女なりに、霖之助の答えに期待してくれていたのかもしれない。
 申し訳のないことをした。

「知らなかったよ――」

 そう、知らなかったし予想外だった。まさか、

「――まさか魔理沙が、タヌキが嫌いだったなんてね」
「うん、……………………うん?」

 嫌いな動物に似ていると言われれば、誰だっていい気はすまい。そう考えれば筋が通る。霖之助は己の名推理に二度頷いて、

「それにしても、どうしてタヌキが嫌いなのか……食料を漁られでもしたのだろうか?」
「……………………」

 霖之助は、気づかなかった。自分を見上げる布都の視線が、じとーっと半目になっていたことに。

 ――霖之助。我、女に『タヌキ』はちょっと失礼だと思う。
 だってタヌキって、お腹がぽんぽこ出てるいめーじがあるし。

 要するに、遠回しに「お前は太ってる」と言われた気分になるわけだが――。
 もちろん霖之助は、ぜんぜんまったく気づいていないのだった。

 ――幻想郷のどこかで、最近お腹回りを気にしているタヌキな少女がぷしっとくしゃみをした。





 ○


 結局あのカチューシャは、やはりとんでもないマジックアイテムだったのかもしれない。魔理沙にカチューシャをケシズミにされ、必然的に招き布都も引退となったその日の午後、香霖堂には打って変わってちっとも客が来なくなっていた。

「……お客さん、来ないのう」
「……来ないね」

 今までの大繁盛はなんだったんだというほどに。ここまであからさまな変わり様だと逆に清々しくなってくる。やはり、楽して商売繁盛するなんてウマい話はない、と神が言っているに違いなかった。
 これといって惜しい気持ちがあるわけではない。そろそろ商品の在庫が尽きかけてきていたし、請け負った道具の修理と服の修繕は抱えきれないほどだ。逆にここで客足が途切れていなければ、霖之助はオーバーワークでぼふんとパンクしてしまっていただろう。布都には申し訳ないけれど、むしろ魔理沙に感謝するべきなのかもしれなかった。
 二人だけに戻った香霖堂で、霖之助は持ち込まれた道具をいじくり回し、布都は椅子に座って両脚をぶらぶらさせている。

「……霖之助は、」

 布都が、ぽつりと、

「霖之助は、やっぱり、お客さんがたくさん来た方が嬉しいか?」
「うん?」
「さっきまでみたいに……」

 深く俯いた布都の表情は、霖之助の位置からではよく見えない。
 霖之助は少し考え、

「……君は、まだ招き猫を続けたかったかい?」
「え? えっと……それは、その」

 実に歯切れの悪い反応が、これ以上ない雄弁な回答だった。やはり、なにが原因かはわからないけれど、布都の招き猫への熱意はすでに失われているのだ。
 そして、それならそれで別に構わないと思う。

「気にすることはないよ。僕自身欲があったのは否定しないが、なにより君がやりたいと言っていたから僕もお願いしていたんだ。君がもう満足したというのなら、それでいいんだと思うよ」
「で、でも霖之助、お店が繁盛すると嬉しいって」
「そりゃあ、自分のお店が繁盛して喜ばない商売人はいないさ」

 霖之助は苦笑、

「でも、いいんだよ。そろそろ商品の在庫がなくなってきていたし、請け負った道具の修理だって、多すぎて抱えきれなくなってきていたし……」

 布都を見る。固唾を呑んで霖之助の答えに身構えている。付き合いはまだそう長くはないけれど、裏表のない純朴な性格のお陰なのか、彼女の求めている言葉は手に取るようによくわかった。
 なので霖之助は、世話の焼ける妹というか娘というか、そんな感じの存在ができたような心地になりながら――けれど面と向かって言うのは少し気恥ずかしかったため、道具の修理に戻ったふりをして、

「……君とこうしてのんびりしてる時間も、それなりに気に入ってるしね。だからいいんだよ、お客さんが来なくても」

 布都を慰めるための世辞――ではなく、至って霖之助の本心である。霊夢や魔理沙を始めとする女性関係でなにかと頭を痛めている霖之助にとって、底抜けにいい子な布都はまさに清涼剤なのだ。しかもいろんな道具に強い関心を持ち、霖之助の蘊蓄も目を輝かせながら聞いてくれるとなれば、好ましく思うなという方が無理な話なのだ。
 布都が思わず顔を上げた。ぽかんとした彼女は目をしばたたかせ、やがてゆっくり、ゆっくりと頬が桃色になっていって、

「そ、そそ、そうかっ……そうだったのだなっ……」
「……うん」

 なんとも照れくさそうに縮こまって、やっぱり癖なのだろう、髪の先をくしくしくしくしといじくりまくる。そんな布都の姿を見て、ああやっぱり僕は恥ずかしいことを言ったんだなと、霖之助はちょっと落ち着かない気分になった。
 咳払い。

「……ところで君、仕事中に僕になにか言いかけてたよね。なんだったんだい?」
「あ……あれは、その、また道具のことを教えてほしくて……」
「なんだ、そんなことか。もちろん構わないよ。商品はだいぶ少なくなってしまったけど、気になる物があれば持っておいで」
「で、でもまだお仕事が」
「休憩だ、休憩」

 そういえば招き布都が始まってからというもの、仕事ばかりでそういう話もさっぱりしていなかったな、と気づく。
 布都が、喜びを隠しきれない様子で椅子から飛び降りた。

「そ、そうかっ。じゃあ、ちょっと探してくる!」
「ああ」

 元気いっぱいな小走りで商品棚に駆け寄り、まるで誕生日プレゼントを選んでいるようにあちこちの道具を手に取って回る――その布都の背に、頬が自然と緩むのを感じながら。

「ああそうだ、もうひとつ思い出した。魔理沙がやってきたきり途中になってたけど、君が気づいた『とんでもないこと』ってなんだったんだい?」
「……あ、あー、そ、それはだなっ」

 別に変な質問はしていないはずだが、布都はうわわっと慌てて、

「え、えっと、なんでもない! たぶん解決したから!」
「え? いや、しかし」
「いいの! 大丈夫なのっ!」

 若干ヤケクソ気味な口振りに、霖之助はつい、「そ、そうか」と押し切られてしまった。

「そう、いいのいいのっ」

 霖之助個人としては、なにが布都をあそこまで落ち込ませたのか極めて気になるのだが――。
 まあ、無理には訊くまい。すっかりご機嫌に道具選びへ戻っていった布都を見れば、無事に解決したのは本当なのだろうから。

「む、この道具はなんだ? ……あ、こっちのも見たことない! むう、どれにするか悩むのう……」

 不思議なことだ。ネコミミカチューシャはケシズミになり、布都が被っているのはいつもの烏帽子であるはずなのに。
 なんだかその両脇に、今でもまだ、ぴこぴこと動く元気なネコミミが見える気がした。








 ○


 ▽ 突如襲来型咲霖 ▽

 その日、咲夜がネコミミをつけて来店してきた。
 思わず二度見した。

「にゃん」
「いや『にゃん』じゃない。なにをやっているんだ君は」

 もちろん、ネコミミカチューシャである。
 咲夜は、なぜそんなことを言われるのかわからない、といった感じで首を傾げ、

「店主さんには、ネコミミの女を愛でる趣味があると」
「……咲夜。その件については正当な事情がだね」
「どうでしょう。似合ってますか?」

 ものすごくどうでもよさそうに口を挟まれた。霖之助は男のプライドで涙を堪え忍ぶ。

「聞いた話では、魔理沙にはタヌキの耳が似合うと仰ったそうで」
「……うん、まあね」
「では、私はどうでしょう?」

 魔理沙にせよ咲夜にせよ、なぜそこまで獣耳の話に食いついてくるのだろう。人間の女とは、意外とそういうものに興味を抱きやすい傾向にあるのだろうか。
 と疑問に思いながらも霖之助は、ちゃんと答えなければヘソを曲げられるとわかっているので、

「……そうだね。ネコミミも悪くはないが、君の場合はイヌミミの方が」
「と言われると思って、イヌミミも用意してきました」
「……」
「わんわん」
「…………」

 恐らく時間を止めたのだろう、一瞬でイヌミミカチューシャを装備した咲夜が、なんとも心のこもっていないイヌの真似をする。霖之助は、十六夜咲夜という少女をなんだか遠くの存在に感じている。

「さあ、どうですか? 似合ってますか?」
「……まあ、そうだね。似合っ」
「かわいいですか?」
「え?」
「か わ い い で す か ?」

 目の前が、咲夜の顔でいっぱいになるくらいの近距離だった。思いがけない行動に胸が高鳴る――わけがない。その口振りは首に刃物でも突きつけるようで、じ――――――――っというジト目はまさに矢となって霖之助を貫いていた。
 拝啓、レミリア・スカーレット。僕は今、君のメイドから脅されているよ。

「じ――――――――――――」
「……、」

 霖之助は口の端が引きつるのを感じながら、

「そ、そうだね。とてもかわいいと思うよ」
「……!」

 その途端に咲夜はパッと身を引き、うむうむと二度満足げに頷いて、

「それでは私、これで失礼しますね」
「は? ちょっと待った、君は一体なにをしに」
「私、今日は忙しいんです」

 ほんとなにしに来た。
 なにも買わないどころか、なんの商品にも目もくれずに帰ってしまったメイドの奇行に、霖之助は頭痛を覚えながらゆるゆると脱力して、

「……本当になんなんだ、一体……」

 やっぱり女という生き物は、よくわからない。
 ――皆が皆、布都みたいにわかりやすければ苦労なんてしないのに。
 そう霖之助は、心の底からため息をついたのだった。









2017.01.01(日) 00:00  /  COMMENT(14)  /  TRACKBACK(0)

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2897/ Re: はてにゃんさん

はてにゃん@社畜コスの人さん>
 あれこれ書いたお話でしたが、要するに私が言いたいことはただひとつ。布都霖にゃんにゃん!
 お久し振りでございます! 個人的な好みをいえばサイベリアン系……あのふかもふには是非とも一度顔を埋めてみたいもんです(´-`) ああでもサイベリアン系といわずどんな猫でもOKですよそりゃあもう猫化した布都ちゃんでもバッチコイでふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかもふもふふかもふもふもふもふもふもふ……
 はっ。
 ともかく読了ありがとうございました。やはり布都霖はたまらん……こんな素敵カポーがマイナーなんて絶対嘘だよ!!
 ではでは、コメントありがとうございました。

P.S.
 いやはや満喫しておられるようでいいですねえ……私なんて、ご飯食べて仕事して執筆して寝るだけのNPCのような生活ですよ!(グギギ
 確か、はてにゃんさんの作品はお燐ちゃん現代入りでしたね! お燐ちゃん……ウチに来てくれてもいいのよ?
 なんだかんだであのオフ会は……もう何年前の話でしたっけ?笑 ふむん、春季例大祭は五月……その頃私はどこでなにをしているのか……(´-`)
 なお、未だに即売会参加経験はゼロの模様。ついったを離れてからというもの、ひきこもりに拍車が掛かる一方である。


2017.02.02 21:41 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2880/

ただの”物”であっても使う者が念じて使うことによって信仰を得て”唯物ではなくなり””使用者の一部となり””香霖堂に異変を招く”とった具合ですかね うーん幻想郷らしいオカルト事案ですなぁ(こじつけ

どうも社畜コスの人ことはてにゃんでーす(リアルでも創作でも)

個人的に超気になる点は猫耳の色と材質!ズバリどんな猫を模した猫耳だったのかですよそうですよふわふわと言っても橙みたくアメリカンカールやサイベリアンのようなふかふかな触り心地なのかそれともお燐みたくアメリカンショートヘアみたいな毛の整った耳なのかそれともシャム猫のような凛とした耳なのかどれも触り心地最高でもうふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふふかふかもふもふ・・・・(失神)

っと失礼
ケモナーな身としてはほんと楽しんで読ませてもらいましたw
純粋な願いが逆に苦しめてしまい自ら苦しんでしまう布都の可愛さとそれでも普段を崩さない香霖は相変わらず
でも異変の原因が無くなり普段通り接する布都霖もまたたまらんですなぁ
次回も期待です!!

P.S.
最近の創作活動はもっぱらコスプレと同人誌即売会スタッフ参加となって例の一筆は全然進んでませんw
早く取り掛かりたいなと思いつつも現在を満喫したいといった具合の板挟みっす
またオフ会なりどこかでお会いする機会を楽しみにしてます!
(次に会えそうなのは例大祭かな?)


2017.01.29 08:03 / はてにゃん@社畜コスの人 #- / URL[EDIT]
2879/ Re: 天杜灰火さん

天杜灰火さん(非公開コメント)>
 お初にお目……って、『残念』で『変態』で『ロリコン』な『幼女』である灰皿さんじゃないですか! うむ、やはりお名前を変えても文章全体から残念臭があふれ出てますね! 流石が残念神様でございます……! 幼女なのにロリコンってほんと罪深いと思います
 それにしてもこのお名前、初見で「あまもりはいか」と読むのかと思い、きっとハイカちゃんハイカちゃんと呼ばれていじられてるんだろうなあと思いましたが、どうやら「かいか」みたいですね。……どの道変わらずにいじられてるかと思いますがねっ。
 さておき、この布都霖がストライクだったのは、灰火さんがロリコンだからなのでは……? わたしもようじょだいすきなのでかいててすごくたのしかったです!!(語彙力の喪失
 文章が迷走する時期は、物書きには避けられませんね。そんな中で私の文章を参考にしていただけるとなれば、まこと物書き冥利に尽きるというものです……! よし、文章を通して灰火さんを残念道や布都霖道に……(ボソリ

>久しぶりに霖之助SS書いてみたくなりましたよ!
 灰火さん霖之助SS描いてくれるんですか! やったー!!
 完成報告を楽しみに待ってますねっ!(じゅんすいな目

 そしてさりげない残念報告もありがとうございますっ! 車に水ぶっかけられて風邪引くなんて、さすが残念神様は格が違った……。私なんて、トラックに一回ぶっかけられたことしかないですよ!
 灰火さんはあいかわらずついったでみんなからいじられまくって残念な日々を歩んでいるかと思いますが、一方で私はついったやめたらあまり残念呼ばわりされなくなりました。誰だったんでしょうねえ元凶は……誰だったんでしょうねえ……?(横目
 そんなこんなで、灰火さんも体調には気をつけてくださいね! ……とはいえ、残念な灰火さんのことなのできっとここから更に……(ボソボソ
 ではでは、コメントありがとうございました!


2017.01.28 22:23 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2873/ 管理人のみ閲覧できます

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2017.01.22 23:22 / # / [EDIT]
2829/ Re: Sea Octopusさん

Sea Octopusさん>
 布都霖は いいぞ。(挨拶
 そうなんです、霖之助さんと布都ちゃんの組み合わせはまさに無限の可能性を秘めているのですっ。とんでもなく相性抜群です。むしろ親子です。なのに二次創作が少ないなんて絶対おかしいよ(危ない目
 私が知る限りだと、布都ちゃんはなにかとドヤ顔がウザいキャラ扱いされててぐぬぬ……と言わざるを得ません。布都ちゃんのドヤ顔は……キュートなんですよ! 小さい布都ちゃんがどやーって一生懸命胸を張ってるのはすごく微笑ましいのですよ! ウザいわけがないっ! そんなぴゅあぴゅあな布都ちゃんを私はSSを通して訴えていきたい!! ・w・)≡3
 深秘録布都ちゃんの首傾けは大変あざといですね。いいと思います。そしてドット絵から覗く生足も……ふう。
 ネコと言わずキツネと言わず、布都ちゃんには割とどんなケモ耳でも似合いそう……。というか幼女ってなんでも似合いますよね! なにを着せてもかわいいしどんな口調で喋らせてもかわいいし、どんな武器を装備させてもかわいい。やはり幼女は最強ってことですか……(ゴクリ
 ふふん、私の筆力を奪いに来たところを逆に捕らえて美味しく頂いてやるのです……! 蛸の捕まえ方は主に鉄腕DASHを通してバッチリ学習済みですからねっ!
 なにはともあれ、今年も何卒よろしくお願いいたしますです。
 ではでは、コメントありがとうございました。


2017.01.08 13:08 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2827/ Re: 内村カミーユさん

内村カミーユさん>
 我々の想いが幻想郷に届くなら、恐らく霖之助はすでに百万回くらい爆発しているはず(錯乱
 布都霖は、恋仲よりも親子に近いので爆発しなくていいです。だが慧霖と咲霖はダメッ……! 末永く爆発してくださいコンチクショウ!
 ではでは、コメントありがとうございました。


2017.01.08 13:04 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2823/

 んごおおおおおお甘々なんじゃああああああああ(理性崩壊

 どもです。宣言通りこちらも読ませていただきました。
 やはり霖之助さんとの組み合わせは良いですね。良いですね。もう一丁良いですね。無限の可能性を秘めている様な気がします。
 二次では何故か極度のアホの子や放火魔扱いされてる布都ちゃん。本当はとっても愛くるしい子だとこれを読んで再認識いたしました。
 蛇足ですが原作だと深秘録の布都ちゃんがダントツで好きです。傾きながらにへーって笑うの可愛いよ布都ちゃん。
 しかしケモミミカチューシャですか。東方女子には何故か凄い似合いそうですよね。個人的に布都ちゃんには狐も似合うかなと思ったり。
 コンコン布都ちゃんとお団子食べたい奢りたい(血眼

 さておき、こちらこそこちらこそ、これからも雨宮さんのssから刺激を頂くと共に筆力を奪ゲフゲフ学ばせて頂きたく思っております。私の方も少しでも刺激になって頂けたら嬉しいです。共に完結目指して頑張りませう!`・ω・´)ゞ
 
 それでは、次回更新をお待ちしていますっ。


2017.01.06 20:56 / Sea Octopus #- / URL[EDIT]
2821/ Re: 翁。弁当さん

翁。弁当さん>
 香霖堂が繁盛するなんて、幻想郷史に刻まれる立派な異変ですねこれは!!(失礼)
 私の中での咲夜さんは、最後に現れて美味しいところをかっさらっていくのだ。ほら銀狐でも……(めーりんの休暇話や影狼の話を思い出しつつ)。
 私が銀髪好きというのもありますし、真面目な話、銀髪の霖CPは総じて破壊力高いと思うんです。慧霖と咲霖を筆頭に、布都霖、ナズー霖、椛霖、最近はサグ霖なんてのも。もこ霖、永霖――はあんまり見かけませんけど(あっ待って二人共やm
 ともかく、銀髪同盟ってあると思います!
 ではでは、コメントありがとうございました。

P.S.
 26000字ですけどなにか?(痙攣
 というか、冷静に考えるとこれは非常にマズいんですよね。この調子で文字数が毎回20000字超えちゃうと、今の二週間更新ペースが普通に維持できなくなるので。今はまだ、ストックがあるのでなんとかなってますが……。
 遅筆なくせに文字数多いとか、ちょっと罪深いと思います(失神


2017.01.05 19:54 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2817/ Re: Zodiacさん

Zodiacさん>
 そりゃあもちろん、狐オリ主なんか書いてる時点で狐が一番大好きです!!!!!
 まあ狐だけに限らず、ケモは至高ですけどねっ。はあ、ケモっ娘のもふもふ尻尾に埋もれて死にたい。
 ではでは、コメントありがとうございました。


2017.01.05 19:42 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2813/

どうもおはこんばちは、カミーユです(´-ω-`)

さて、取り敢えずいえるのは・・・
爆ぜろりんのすけぇぇ!

以上年末年始忙しかったカミーユです。


2017.01.05 18:55 / 内村カミーユ #- / URL[EDIT]
2804/ Re: 箱の中のJackさん

箱の中のJackさん>
 あけまして残念美人! 2017年初コメントありがとうございます! `・ω・)ゞ
 いやはや、昨年一年間、楽しんでいただけたようでなによりでした(´ω`)
 今はちょっとシリアスしちゃってますが、春になる頃にはまたほのぼのに戻っているかと思います。そのときは、今がほのぼのできていない分も含め、カオスなくらいの勢いでやっていきたいものですね。そう、この霖之助さんのように
 タヌミミカチューシャつけて宣伝してくれるんですか! ありがとうございますっ、たぬ尻尾も忘れないで装備してくださいね! ぽんぽこ!
 私は寝るのが大好きなので、むしろ徹夜しなきゃいけないような状況でも躊躇いなく寝てると思います笑 睡眠は命の休息ですよ。私はお布団の下僕なのです……うふふ。
 応援ありがとうございます。2017年も頑張ってまいります! `・ω・)ゞ
 ではでは、コメントありがとうございました。


2017.01.03 20:37 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2803/ まさに幻想郷

香霖堂が繁盛するとは新しい!(霖之助さんに失礼)
そして突如襲来する咲霖に全俺が『!?』ってなった。 

これこそことばつなぎ。の幻想郷ですね!

しかしこのブログは銀髪CPが多い気がする。

ps,
今回は何文字でしたか?


2017.01.03 00:46 / 翁。弁当 #- / URL[EDIT]
2799/ ケモミミ

しかし結局作者様が一番広めたいのは狐耳だったりして(邪推)


2017.01.01 23:38 / Zodiac #- / URL[EDIT]
2791/ 初笑いをありがとう

あけましておめでとうございます。
昨年も最高に楽しい話をありがとう。
今年もこの霖之助のようにこのブログが笑いでいっぱいになるような面白い話を期待しています。
そのためなら、私はタヌキミミカチューシャをつけてこのブログを宣伝しますww。
でも、霖之助のように徹夜して体調を崩さないよう気を付けて投稿してください。
応援しています。


2017.01.01 01:05 / 箱の中のJack #- / URL[EDIT]

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