銀の狐と幻想の少女たち 番外編   

「橋姫様のホンネ。そのに」
本編第88話で丸々省略した、月見が地上へ帰る道中の出来事ということでひとつ。





 暇。
 暇である。
 ただひたすら暇である。完膚なきまでに暇である。

「……はあ」

 なんでもない地底の景色があり、なんでもない橋があり、なんでもない川の流れがある。私は橋の欄干に頬杖をつき、流れ行く水をなにをするでもなく目で追いながら、女の子のナリをした最新型のため息量産機と化していた。量産したため息の数は、今日一日だけで五十は決して下るまい。
 一の旧都の住民として、私は心の底から訴えたい。この地底には、誰でも楽しめる娯楽というものが圧倒的に欠如している。旧地獄と呼ばれる荒涼とした土地のせいか、それとも鬼が主導となって創った都だからなのかは知らないが、そのへんで湧いている成分不明の温泉に飛び込むか、酒場でわいわい酒を呑むかくらいしか選択肢がないのは本当におかしいと思う。温泉にせよ酒場にせよいつも大勢の妖怪で賑わっているわけだから、私なんかでは近づくこともできない別世界なのだ。もっとこう、たくさんの本を好きに借りられて、ひとりでゆったり寛ぎながら読める資料館みたいなのとか。もしくは温泉も酒場も、一人でも気軽に楽しめる完全個室制とか。そういうのがひとつくらいはあってもいいはずなのに。友達がいない私を遠回しにいじめているのだろうか。ばか。

「……」

 ついいつもの癖でそこまで考えて、ふと思い直した。
 いや……私、そういえば、もう友達がいないわけじゃないんだっけ。や、やっ、私はあいつを友達と認めたわけじゃないけど、なんか向こうがどうしてもって感じだったから、仕方なく付き合ってやってるというか……断じて、独りぼっちの寂しさに負けたりしたわけじゃないわよ。断じて。
 ともかく、今の私は年中無休四六時中で独りぼっちというわけではもうないのだ。月に一度、くらいだけれど。地上から物好きな狐が下りてきて、そいつと少し、話をする機会ができた。
 ……そういえば、そろそろあいつがやってくる頃な気がする。明日あたり来るかしら? ……決して会いたいとか思ってるわけではなく! とにかく暇すぎて話し相手でもほしいってだけで、別に、話ができるならあの狐じゃなくてもぜんぜん構わないし! ええ、そうですとも!

「……」

 ……はあ。
 なんかあいつと知り合ってから、こうして一人でテンパる機会まで増えた気がする。そりゃあ、はじめての友達――向こうが勝手に言ってるだけで、私はまだ認めてないけど!――ともかく友達ができて、いろいろと戸惑う日々を送っているのは事実なのだった。あいつとやることなんて世間話くらいだけれど、それにしたって会話の距離感とか、話の種とか、気を揉むことは結構多いし。
 ……ま、そんなのいちいち悩んでるのなんて私くらいなんでしょうけど。世の中の人付き合いが上手な皆様は、さぞかし楽しく友達ライフを満喫してらっしゃるのでしょうね。私みたいにあれこれ悩んだりなんてしないんでしょうね。あー妬ましい妬ましい。そんなみんなから見たら、今の悩んでばかりな私なんてさぞやお笑いなんでしょうね。まったく妬ましい。あははは。
 ふんだ。
 いいわよいいわよ、どうせ私に友達なんて荷が重すぎるわよ。私みたいな性格の悪い根暗女は、世界の隅っこでため息量産機と化してるのがお似合いなのよ。ええそうよ、わかってますとも。

「……」

 ……あいつ、来ないかなあ。
 あ、あーっ、だからこれはその、向こうから寄ってくるんだから仕方ないのよ! 別に私、友達とかいらないけど! でもあいつがどうしてもって感じだから、人付き合いの一環というか、仕方なくというか……!
 ……。
 ……なんか、さっきから同じことを繰り返してる気がする。なにやってるんだろう私。
 ちょっと落ち着こう。背筋を伸ばして、岩盤だらけで風情のない空を見上げて、はい深呼吸――

「……って、」

 橋の上の中空を、あいつがふよふよと飛んでいくのが見えた。
 ……幻? ま、まさか幻じゃないわよね!? ダ、ダメよそんな、それじゃあまるで私があいつに会いたがってるみたいじゃない!
 目をこする。まだ見える。
 目をつむってぶんぶん首を振る。まだ見える。
 ほっぺたをむいーっと引っ張る。痛い。
 欄干に頭を五回くらい打ちつける。とても痛い。そしてまだ見える。
 ……ふう。ここまでやっても消えないってことは、あれは幻じゃなくて本物ってことね。なんだ、よかった。焦らせないでよもう。

「…………?」

 ……って、本物!?

「ちょ、ちょっと! こらあっ、待ちなさーいっ!!」

 あいつ――月見の背中に向けて思いっきり叫んだ。月見は、旧都から地上へ続く洞穴の方向に向けて飛んでいっている。つまりあいつは地上に帰ろうとしているところなのであり、一体いつの間に来てたのよ、ってか私を無視するなんていい度胸じゃない声くらい掛けてよ!?
 橋の上から喚いていたら、足を止めた月見が振り返った。それから、まるで今ようやく気づいたみたいな顔をして、私がいる橋のところまでゆっくりと下りてきた。
 月見は言う。

「悪いね水橋、気づかなかった」
「……へー、そう」

 私は途端に不機嫌になる。なによ気づかなかったって。そりゃー知人友人がたぁーっくさんいるあなたにとっちゃ、私なんて道端のちょっと珍しい石って感じなんでしょうけど? でも声くらいは掛けてよ、そんなの寂し
 ――じゃなくってえっ、そうっ、メチャクチャ暇だったんだから声くらい掛けてほしかったわね! そうすればいい暇潰しになるし! ええ、暇潰しよ! それ以外なんてないわよ! 当たり前でしょ!? ばかっ!
 という心の声は当然おくびにも出さず、むすっと頬を膨らませていたら、月見はごめんごめんと言って苦笑した。

「ちょっと、考え事をしててね」
「ふーん。それで私を無視するくらいなんて、さぞ大層な悩み事なんでしょうね。妬ましい」

 不機嫌なので、私の言葉にも自然と棘が生える。なによ、そんな参っちゃったみたいな顔して。私にあれこれ罵倒されてもケロリとしてたあなたが、一体どうしちゃったんだか。

「大層……そうだね。今日ばかりはちょっと参ったよ」
「……」

 ……あ、あれ? これ、もしかして地雷だった?
 ちょ、ちょっと待ちなさい、いくら根暗で独りぼっちで人付き合い経験値ゼロの私でもわかるわよ。あなた、いま相当無理して笑ったでしょ? 冗談抜きでほんとに参っちゃってるでしょ?
 一体なにがあったというのだろう。こいつは私がつい勢いで「死になさい」とか言っちゃっても、柳に風と受け流してくれる程度にはメンタルが強い。だからこそ、どれほどの出来事が起こればここまで憔悴することになるのか想像ができなかった。旧都で誰かに石投げられたとか? いや、こいつが今更そんなのでショック受けたりするかしら。それに、そもそもこいつなら石を投げられること自体がなさそう。鬼たちと知り合いだっていうし、旧都でもまあ上手いことやっているのだと思う。それって妬ましいわね……。
 っと、妬んでる場合じゃなかった。

「大丈夫なの?」
「ん……ああ、心配には及ばないよ」

 半分以上うわの空で言われてもぜんぜん説得力ないんだけど。あと変な間もあったし。
 なにがあったのかは知らないが、ともかく今のこいつは相当のようだ。……こ、こういうときって、友達としてなにか言った方がいいのかしら。うううっ、でも私、誰かを励ましたり慰めたりした経験なんてないわよ!? 絶対、「頑張って」とか「元気出して」とかしか出てこないやつよ!? ど、どどどっどうしようどうしよう……。
 表情はあくまでいつものまま、内心ではあちこち走り回っておろおろしていたら、月見が小さく息をついた。

「……ごめん。だいぶ辛気くさい顔をしてるんだろうね、今の私は」
「え、えっと、」

 な、なにを言えばなにを言えばなにを言えばなにを言えばなにを言えば、

「せっかく呼び止めてくれたのに悪いけど、今日のところはもう帰るよ。なに、一日ぐっすり寝れば落ち着くだろうさ」
「……、」

 あああああなにも言葉が出てこないいいいいいっ! 私のコミュニケーション能力ゼロ! いやいっそマイナス! 絶対零度! わかってたけど! わかってたけどっ!

「それじゃ」
「あ、」

 そんなこんなやっているうちに、月見があっさり踵を返してしまう。……ど、どうするの私、本当にこのままだんまりで見送っちゃうの!? 月見なら、それでも別に気にはしないでくれると思うけど……そもそも、私なんかが元気づけたり慰めたりするなんて思ってもいないでしょうけど……実際なにも言葉が浮かんでこないし。

「ちょ、ちょっと!」

 なのになんで私は勢いで呼び止めちゃってるんでしょうかあああああ!? あーっほら月見が振り向いちゃった! もうこれなにか言わなきゃダメなやつじゃない! どうするのよ私! なんで自分で自分を追い詰めてるの! ばか!
 うぐ……ぎゃ、逆に考えるのよ。このままなにも言わないで別れたら、すごく後味が悪くなっちゃうじゃない。心に大きなしこりが残って、次に月見が来てくれる日まで、間違いなく私は悶々とした気持ちで毎日を過ごすことになる。ただでさえ暇で暇で参ってしまっているのだから、余計なものを残すのは御免だ。それを本能で察したからこそ、私は月見を呼び止めたのよ。うん。さすが私。
 ……さてと、無意味な現実逃避はこれくらいにして。

「え、えっと、」

 ほ、本格的にどうするか考えないと……! ダメよ私、ただでさえ独りぼっちで根暗で性悪でコミュニケーション能力絶対零度なんだから、このままじゃあ、独りぼっちで根暗で性悪でコミュニケーション能力絶対零度で挙動不審で痛々しい女になっちゃうじゃない!?
 ……でも、本当になんて言えば。

「なんだい?」
「……あ、あの、」

 どうすれば。
 どうすれば私は、月見を。

「……水橋?」
「…………、」

 あああああもおおおおおおおおおお。
 心の中で、うじうじ悩む自分を思いっきり殴り飛ばした。そうだ。独りぼっちで根暗で性悪でコミュニケーション能力絶対零度な私に、どうせ気の利いた慰めなんて言えっこない。一日中、いや、一週間飲まず食わず眠らずで考え抜いたって絶対に無理だ。逆立ちしたってできないことを、あれこれ悩んだって仕方ないじゃないか。
 例えば、私が彼のように落ち込んでいる側だとしたら、なんて言ってほしいか。そう考えてみる。
 少なくとも、変に気を遣われたくはない。変に元気づけようとしてほしくない。変に慰めようとしないでほしい。多分、そういう風にわざと作られた(・・・・・・・)言葉は、悪い意味で相手の心が見え透いてしまって、反って重荷になってしまうのだと思う。
 月見のことを考える。
 まだ片手指で数えられる程度でしかないけれど、月見はもう、私の生活の一番近いところにいる他人だ。なにからなにまでは無理でも、少しくらいは彼のことをわかっているはずでしょう。考えなさい、パルスィ。
 月見はこうやって、弱々しい姿を人に見せて、それで同情されたがるような女々しいエゴイストだった?
 否。むしろ人から同情されたり気を遣われたりすれば、必要以上に相手の心中を察してしまって、そうさせてしまった自分の不甲斐なさを責めるタイプ。そこはきっと私と同じ。だから、変に腫れ物を触るような扱いは逆効果なはず。
 よって結論は単純明快、私が落ち込んでるときにしてほしいと思うことをすればいい。難しいことは考えず、私は水橋パルスィとして、月見に声を掛ければいい。それ以上はないものねだり。気の利いたことを言おうなんて思わない。もう悩まない。
 言った。

「……あなたが、なんでそんなに悩んでるのかは知らないけど」

 いつも通り、わけもなく不機嫌そうな声で。

「そこまで気にすることでもないわよ、きっと」

 睨むように、冷たい視線で。

「だってあなた、私と、……まあその、友達っていうか。それなりに、上手く、やってるわけだし? 根暗で口悪くて、いろいろめんどくさい私と。だから、なんとかなるわよ」

 自分でも呆れるくらい支離滅裂だし、無責任な言葉だった。『わかったような口』ってやつだ。本当にコミュンケーション能力皆無ね私……ヘコむ。
 けれど、それはそれ。ここまで来てしまったのだから、もう伝えたいことははっきり伝えるのである。
 月見を鋭く指差す。

「今すぐなんて言わないわ。でも、次来るときには、ちゃんといつも通りのあなたに戻ってること。……じゃ、じゃないと罵倒してやるんだから。あなたらしくない」

 うわ、なんだか今更になってすごく緊張してきた。これって要するに、「次来るのも待ってるから」みたいな感じになっちゃってない? べ、別にまた来てほしいなんて思ってるわけじゃないわよ!? 元気になったら友達にちゃんと報告するのは当然の義務で、……ともかくっ!!

「私は、私が口悪いのものんびり受け流して、気ままに笑ってるあなたが好きで」

 しんだ。
 と思った。
 心の中で絶叫した。

(んぎゃああああああああああああああああああああ)

 なに言ってるの私!? なに言っちゃってるんでしょうかわたくし!? ばか!? おばか!? ばかっばかっ!!
 好きって!
 好きって!!

「ち、違っ! い、今のはその……ぜんぜん違くて! とにかく違くて! だから違くてっ!?」

 頭の中が一瞬で沸騰した。全身の血が顔に押し寄せてきている感覚、ぐるぐると回る視界、私は一生懸命両手を振って矢継ぎ早に、

「違うわよ!? 違うからね!? 違うんだからね!? 今のはそのっ、友達としてというか、いわゆるLIKEってやつで!」

 断じて照れ隠しの類ではない、正真正銘の事実である。当たり前でしょ!? まだ片手指で数えられるくらいしか会ったことない相手だし、そこまでチョロい女じゃないわよ私は! 独りぼっちのところを話しかけてくれたから、なんて理由だけでオトされる女はマンガの中にしかいないのよ! 橋姫ナメないでっ!
 とにかく。
 いい人だと思っているという、そういう意味の『好き』だ。そりゃあ、私みたいな女と嫌な顔ひとつせず話をしてくれるんだから、悪いやつではないのだ。……でも好きってのはさすがに言い過ぎね、まあちょっとくらいは好感を持ってあげないでもない、って感じかしら! まったく私ったらバカねえ、まさかこんなトコロでも口下手が発揮されるとは思ってなかったわ! あははは!
 ぐすっ。
 必死にあれこれ言い訳しながら、私はだんだん泣きたくなってきた。ああ、やっぱり私には無理だったんだわ。落ち込んでる相手を元気づけるなんて、時期尚早の極みだったんだわ。ほら見なさい、月見なんて口を半開きにして、いかにも「なにやってんだこいつ」ってドン引きしてる顔で

「……ぷっ」

 そのとき、月見が小さく吹き出した。
 今度は私が口を半開きにする番だった。なにが起こったのかわからない私の先で、月見が体をふるふる震わせ、

「く、っははははは」

 笑って、いた。
 まったく無理をしているところがない、それは彼が自然に笑っている姿だった。というか、こんな風に声をあげて笑っている月見ははじめて見た。普段から耳に優しい声で話す人は、やっぱり笑い声まで心地よかった。だんだんと私の頭が状況を飲み込んでくる。そしてむくむくと嬉しくなってくる。やった、よくわからないけど私でも誰かを笑顔にすることができ――
 ってちょっと待って、

「あなたなに笑ってるのよ!? それ私見て笑ってるでしょ!? 私がおかしいから笑ってるんでしょ!?」
「く、く、く」
「きーっ!!」

 込みあがってきていた喜びが一瞬で怒りに変わった。よくよく考えてみれば、勝手に自爆してしどろもどろに言い訳する滑稽な自分を笑われただけじゃない!? 要するにバカにされてるんじゃない! ひ、人がせっかく心配してたのに随分なお返しじゃないの! だったら私もお返ししてあげるわよ!? 弾幕で!
 月見がいつまで経っても笑うのをやめないので、そろそろ本気で弾幕をぶっ放そうかと思っていたら、

「ありがとう、パルスィ」

 ……。
 …………………………えっ。

「あ、あなた、今」
「お陰で、少し元気が出たよ。……そうだね。確かに私らしくないかもな、こんなの」
「え、あ、うん。いや、そうじゃなくて、いま私の名前」

 パルスィって。この名前、あなたには発音しにくかったはずじゃ。
 ああ、と月見は小さく言って、

「やっぱり、苗字で呼ぶのがどうもしっくり来なくてね。こっそり練習してたんだ、今まで」
「……、」
「どうかな。だいぶ上手くなったと思うんだけど」

 完全に毒気を抜かれてしまった。まさかこのタイミングで名前を呼ばれるとは思っていなかった。しかも、発音も完璧だった。月見が私の名前を上手く言えなかったのは事実だから、それってつまり、本当に練習してくれてたってこと? 私なんかの名前を呼ぶために? 今までこつこつと?
 ……。
 ……あ待って、ちょっと体が熱くなってきた。す、ストップストップ今のなし!? ふ、不意打ちだったから! こんなの卑怯よ! ばか!

「まだダメかな」
「へ!? い、いや、ちゃんと言えてたと思うけど」
「ああ、よかった。じゃあ、これからは名前で呼んでいいかな。やっぱりこっちの方がしっくり来る」

 ちょ、ちょっと待ちなさい、今このタイミングでそんなこと言う!? なんか妙な気分になっちゃうじゃない! ってか、なんで私ばっかりこんなに狼狽してるのよ! い、一応ほら、手違いとはいえ「好き」とか言っちゃったんだし、あなたもちょっとは動揺するとか……!
 ……。
 ……あ、そっか。そもそも私、こういうので男の人に動揺してもらえるほどの女でもないか。
 ……なんかいきなり冷静になってきた。そうよね、わかってたわよ。私はあなたにとって、女である以前にたぁっくさんいる知人友人の一人でしかないのよね。だからそういうこともさらりと言えちゃうのよね。ええわかってましたとも。あはは。
 ふんだ。
 わかった。もうわかった。最初出会ったときの相合傘もそうだったけど、どうせこいつの言うことやることに深い意図なんてありゃしないのよ。動揺するだけ無駄よ。ふんだふんだ。
 もう、すっかりいつも通りの私だった。

「……好きになさい。ちゃんと呼んでくれるんだったらどっちでもいいわ」
「そうか。ありがとう、パルスィ」

 Be cool……Be coolよパルスィ……! 変に意識するだけ無駄……! 無駄なのよ……!

「約束するよ。次に会うときはいつも通りの私だって」
「ふん、そうして頂戴。まったく、こっちまで調子狂って仕方ないわ」
「そうだね。なかなか見られないお前を見た気がするよ」

 忘れてっ!! 忘れてください!! お願いだからっ!!
 という気持ちを込めて思いっきり睨みつけるのだが、微笑みひとつで受け流されてしまった。もうすっかり、いつも通りの月見だった。

「それじゃあ、また今度ね」
「ふ、ふんだ!? 別に私は、また来てほしいとかぜんぜんちっとも思ってないし!? ひとりでもぜんぜん平気だし!? ばーかばーかっ!」

 ぐうっ、悔しすぎて子どもみたいな罵倒しか出てこない……! あーっもう、悔しいし恥ずかしいしイライラするし、でもいつも通りに戻った月見が見られてちょっと嬉しいし、なんなのよこの気持ちはぁっ! あなたのせいよもおーっ!! ばか!!
 結局私は最後まで、「ばか! ばーかっ! おばか! あんぽんたん!」とそんな感じの罵倒で月見を見送ることしかできなかった。
 そして大きな敗北感とともに心にしこりが残ってしまい、今度月見がやってくるまでの間、私は恥辱と屈辱の悶々とした毎日を過ごすこととなるのだった。
 ばか!! ばかっ!!









2016.06.05(日) 21:00  /  COMMENT(10)  /  TRACKBACK(0)

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2099/ Re: カズさん

カズさん>
 パルさんは一見口悪いし性格も悪いしデレないツンデレって感じですが、心の中ではきっと乙女に違いないっ。そんなパルさんをこれからもアピールしていきたいと思います。
 カズさんの好みに合ったようなよかったです。
 ではでは、コメントありがとうございました。


2016.07.07 23:42 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2090/ パルパル可愛い

更新に気づかなかったが今読んだ!
パルパル可愛い過ぎ!こんなパルパルになら嫉妬されてみたい!


2016.07.04 21:31 / カズ #- / URL[EDIT]
2026/ Re: 内村カミーユさん

内村カミーユ@天の邪鬼さん>
 おはこんばんちはでございます。
 日頃から罵倒されたいあなたに。一家に一台、水橋パルスィ。
 なんでや、男ツンデレは充分需要あるやろ! ツンデレ男とおにゃのこのCPって滾りますよね!(なんの疑いもない眼差し) 個人的見解ですが、女の子がツンデレしてるより、男の子がツンデレしてる方がニヤニヤ効果は高いような気がします。\結婚しろー!!/
 ではでは、コメントありがとうございました。

P.S.
 おっと、データは死守したのですね!? わかりました、あとは任せてくださいカミーユさん。この私があなたの遺志を継ぎ、一人でこっそり隠れて赤面あうあうパルスィを堪n(血の海


2016.06.07 21:01 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2025/ Re: 怠惰な奴さん

怠惰な奴さん>
 パル念美人!
 はじめは軽い気持ちで書き始めた「橋姫様のホンネ。」でしたが、まさかここまで書くのが楽しくなるとは思っていませんでした。ツンデレブームも今となっては昔の話ですが、やはりなんの理由もなくブームになったわけではなかったのですね! ツンデレよいです。
 これでこの狐が苗字呼びするキャラはいなくなったはず。やはり、どんな相手も名前で呼ぶのがこの狐らしいような気がします。竹取物語編は昔の話なのでノーカウントで。
 ともかく、またこのパルスィが書けて大変満足でした。
 ぱるぱる、ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる!(ではでは、コメントありがとうございました!


2016.06.07 20:59 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2024/ Re: 昆布巻きさん

昆布巻きさん>
 残念パルパル!
 今回はこっそりステルス更新なのです。いやはや「いつも通り開いて」という部分が何気に嬉しいですね。お世話になっております! `・ω・)ゞ
 私がこのお話を通して言いたいことはただひとつ。ツンデレパルスィの一人称は書くのがめちゃくちゃ楽しい。もっと広がるがよいよ!
 私の中ではパルさんです。ふふふまるでG退治の最終兵器バルサンのようで大変(血痕
 ではでは、コメントありがとうございました。


2016.06.07 20:59 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2023/ Re: Sea Octopusさん

Sea Octopusさん>
 ぱるぱる!(残念美人!
 ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる! ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる(ツンデレキャラの一人称って書いてて楽しいですね! あまりの楽しさにまたやってしまいました。
 ぱるぱる……ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる? ぱるぱるぱるぱるぱる……(なるほど……いずれ正統派ヒロイン咲夜さんと出会い、月見との仲の良さにパルパルするというわけですね? それってすごく橋姫らしいですね……。
 ぱるるっ、ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる! ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる!(おっと、海蛸さんもなにかとこじつけてゆかりんを涙目にさせる力を習得したのですね! これからますますゆかりんは涙目になるがよいっ。
 ぱるぱる、ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる(ではでは、コメントありがとうございました。


2016.06.07 20:58 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
2022/

どうもおはこんばちわカミーユです(´-ω-`)

なんだこの可愛い生物はめんどくさいけど可愛いとかちょっとお持ち帰りしていいですか?
それよりツクミンいつの間に練習してたんや、さてはツクミンもツンデレだな!?(錯乱
ツクミンのツンデレは一部(意味深)を除いて需要あらへんで!

ではでは次回更新お待ちしております(。・ω・。)ゞ

・・・よし、パルスィのツンデレと赤面頂きました!早速録音したテープと写真を安全なところに移さなけれbパ「お前の罪を数えろ!」Σ(´□`;)あ、ちょ、まて話せばわかrアバババババ

なおデータは死守した模様。


2016.06.07 07:09 / 内村カミーユ@天の邪鬼 #- / URL[EDIT]
2021/

ぱrゲフンゲフン、残念美人!
いやー、パルスィ可愛いですねぇ。何ですかもう、超純情なおにゃのこでは無いですか!

月見の弱っている姿、それはもう、不安になりますわ。何があっても動じなさそうな人が弱っている...うん、心配するわ。
そしてパルスィ優しい。

てか月見、発音練習してたのね。パルスィ。パルseeでも良いt(ピチューン
あー!パルスィが可愛いんじゃァァアアア!!

次の更新を楽しみに待ってます!
では下の方達に倣って。ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる


2016.06.06 17:37 / 怠惰な奴 #- / URL[EDIT]
2020/

残念パルパル!
いつも通り開いて不意討ち食らった人ですww
ツンデレパルスィ可愛い、、、
ひっそり練習してた月見パルパルパルパルパル、、、
私の中ではパルseeなんですけどね。(あれ、後ろからパルパル音が、、、
ではでは~


2016.06.05 23:42 / 昆布巻き #- / URL[EDIT]
2019/

 ぱるぱる!(残念美人!)

 ぱるぱるぱるぱるぱるぱる(パルスィが正統派ヒロイン可愛くて面白かったです)

 ぱるぱるぱる……ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる、ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる(これは……もう一人の正統派ヒロイン咲夜さんの最大のライバルは、実は橋姫様だったと言う事なんですね分かります)

 ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるっ(では二人のヒロイン力の高さに涙目になるがよいぞゆかりんっ)

 ぱるぱるぱるぱるぱるぱる。ぱるぅ!(次回更新も楽しみにお待ちしております。ではでは!)


2016.06.05 23:13 / Sea Octopus #- / URL[EDIT]

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