ラノベ紹介 『お世話になっております。陰陽課です』 【オススメ度:☆☆☆☆】    

【お世話になっております。陰陽課です】
お世話になっております。陰陽課です 念願の公務員に採用され、京都市役所で働くことになった火乃宮祈理(ひのみやいのり)。入庁式を終えて彼女が配属されたのは、通称・陰陽課。京都の町には人間に紛れて暮らす妖怪がたくさんいて、そこは市民である彼らの生活を守る部署だというのだ。
 混乱する祈理の教育係についたのは、白銀の髪に赤いシャツでガラの悪い、公認陰陽師の五行主任。妖怪の次は陰陽師……?と、訝しむ祈理は、陰陽師らしからぬ風貌の五行(ごぎょう)と、町を治める鬼や狐の親分との顔合わせに向かうことになるのだが……。
 チンピラ陰陽師×マジメ女子の凸凹コンビによる、不思議な公務員生活が始まります。


(著:峰守ひろかず 刊:メディアワークス文庫)


【主な登場人物】
火乃宮祈理……本作の主人公にして、念願の市役所勤務を果たしたできたてホヤホヤの社会人。特技は暗記で法律や条文の暗唱はお手の物、癖はメモで上司から言われたことはなんであれ必ずメモる、というだいぶガチガチのマニュアルタイプ。このテのお話では定番な『視える人』――妖怪など人ならざる存在を視ることはできるがそれだけで、対抗手段は一切持っていない一般人――です。新社会人なのも手伝ってかよくも悪くも生真面目で、はじめはそれが原因で五行としばしば対立するものの……?
五行春明……主人公の上司に当たり、目つきと性格と言葉遣いがすこぶる悪いという公務員にあるまじき青年。京都市公認の陰陽師で、職務としては主に人ならざる住人たちの相手を担当している。主人公とはまさに対極の性格なため、はじめはしばしば衝突しておりましたが、それがまさかあんなことになるなんて……笑
 ちなみに表紙では陰陽師の正装である衣冠姿ですが、実際は黒地にストライプのスーツ、赤いシャツ、白いネクタイと、やはり公務員にあるまじき奇抜な恰好をしているようです。羽織にネクタイを締める絶対城先輩といい勝負ですね。


 だいぶ前に紹介した、『絶対城先輩の妖怪学講座』と同じ作家さんの作品となります。決定的な違いは、向こうは「妖怪は実在しない」という目線からその正体に迫るミステリモノでしたが、こちらは妖怪が実在する世界のお話ということでしょう。妖狐がいて、鬼がいて、天狗がいます。妖怪たちが人の中で紛れて暮らす一市民として認められており、そういった者たちを相手に働く市役所員の仕事模様を描いた作品です。
(似た傾向の作品だと、『朧月市役所妖怪課』シリーズがありますね。もっとも、この『妖怪課』が人間に害を為す妖怪に対処する「人間のための組織」であるのに対して、本作の『陰陽課』は妖怪の生活をサポートする「妖怪のための組織」である点で差別化されます)

 内容としては、オーソドックスなガールミーツボーイ系ライトミステリかと思います。新生活で新しい土地にやってきた主人公がいきなり怪異に巻き込まれ、その中でヒロイン的ポジションの青年と出会い、否が応でも怪異的なモノと関わっていくこととなる。反りが合わない青年とたびたび衝突しつつも、いろいろな経験と通してほんのちょっとずつ打ち解けていく。ストーリー終盤でシリアスに突入しピンチに陥るが、最終的には無事解決。青年との絆が深まり、主人公もなんだかんだで今の環境を悪くないと思い始める――。
 ライトミステリ系では本当に鉄板のストーリー構成です。本ブログで紹介した『絶対城先輩の妖怪学講座』『香魅堂奇譚』『ようするに、怪異ではない。』もほぼこれに当てはまります。悪い言葉でいえばテンプレ化というやつでしょうが、王道故の安定した面白さと安心感があるのは事実です。これといって奇抜な設定やコンセプトもなく、あまり読み手を選ばない読みやすいお話だったかなーという印象。

 しかしながら絶対城先輩シリーズの作者さんですので、作中で出てくる陰陽術ウンチクには光るものがあります。銀狐のナンチャッテ陰陽術とは違って笑、比較的史実に即した本格的な陰陽術が楽しめます。単語のみを挙げれば、狐格子、辻占、六壬式盤、九字の印、呪詛……マンガでは『陰陽術=式神』という図式に偏りがちですが、この作品は式神だけが陰陽術じゃない!ということを教えてくれます。
 加えて、それら陰陽術の解説がとっつきにくくないのもポイント。絶対城先輩シリーズ同様、キャラクター同士の掛け合いを交えつつテンポよく解説してくれます。いろいろな知識をわかりやすく吸収できるので、オカルト好きな私にとって、峰守さんの作品はとてもポイント高いです。

 そしてこの作品最大の見せドコロは、ストーリー最終盤に待ち構えているまさかの展開。その展開を目の当たりにしたとき、あなたは絶対にニヤニヤを抑えられなくなることでしょう
 ネタバレになるためここでは触れませんので、是非皆様の目で確かめてください。
 私からはとりあえずこの一言。お前ら結婚しろ。

 以上、今年最後のライトノベル紹介でした。

 ……ところで話は逸れますが、『ワカコ酒』『ラーメン大好き小泉さん』など、主にマンガ界隈でじわじわと人気を獲得してきているグルメ系作品。あの流行がラノベまで入ってきているようで、メディアワークス文庫で近頃ちょくちょく見かけるようになりました。(→『藤島さんの深夜ごはん』『まいごなぼくらの旅ごはん』
 異世界グルメ系ラノベは前々からありましたが、あくまで日常系のほのぼのごはんライフというところがポイント。ライトミステリが大半を占める青年向けラノベに、果たして新しいブームを巻き起こすこととなるのか――今後の展開が気になるところです。

 それでは、今回はこのあたりで筆を擱きます。
 雨宮でした。









2015.12.26(土) 19:30  /  COMMENT(2)  /  TRACKBACK(0)

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1536/ Re: 内村カミーユдさん

内村カミーユдさん>
 どうもこんばんはです。毎度のコメントありがとうございますん!
 銀狐かと思った? 残念、ラノベ紹介でした!
 ほほう、カミーユさんもこの作品に目をつけてらしたとはなんともお目が高い ・w・) 是非是非読んでみてくださいっ、最後の展開は絶対に笑えます!笑 私は「お前ら結婚しろぉ!!」と思いながら電車でニヨニヨしておりました。
 月見に抱きつくことで補充することのできる成分……藤千代は本編では『ツクミン』と言っていて、『ツクミニウム』とは一言も言っていない……! つまりこれは、藤千代にジャックされたと見せかけた立派なカミーユさんの本心……! すなわちカミーユさんはもふもふ好きっ……! ケモ好き……っ! 圧倒的Q.E.D……ッ!!
 ケモっていいですよね。私は藍しゃまの尻尾の付け根をわしゃわしゃして怒られたいですし、椛の耳をくいくい引っ張ってビンタされたいですし、橙の耳の付け根をこしこしして引っかかれたいですし、影狼ちゃんの尻尾を撫でくり回して噛みつかれたいです。カミーユさんもそうですよねっ(疑いのない目)。女の子だけじゃなく、男のケモも素敵です。最近見つけた猫のマンガがすごく面白くて、ひょっとしたらブログで紹介するかもしれません。
 藍しゃまの出番は次の次――つまり来年一発目のお話――の予定ですね。咲夜は……咲夜は…………。
 ……。
 マア、ソノウチ出テキマスヨ。ソノウチ。当分出コナイナンテ、マサカソンナ。
 銀狐は明日更新する予定なので、もう少しばかりお待ちくださいませー。コメントありがとうございました(*´∀`)♪

P.S.
 なんでやねん!


2015.12.26 23:20 / 雨宮雪色 #- / URL[EDIT]
1535/

どうも今晩はカミーユです(´-ω-`)

更新来た~(°Д°)かーらーのー銀狐じゃなかった悔しい!!でも(ry

実はこれ読もうかどうか迷ってたんですよね。読んでみy・・・か、勘違いしないでよね!別に雨宮さんが紹介したから読もうとしたんじゃなくて元々興味があったから読むんだからね!!本当なんだからね!!

とりあえず銀狐まだー?。・゜゜(ノД`)
(とある鬼の母)
ツクミニウムを補充したいです。あ、ツクミニウムというのはですねツクミンに抱きつくことで補充することができる成分で、主にツクミンの・・・(中略)・・・でツクミンに抱きしめられることで何て言うかこう、救われてなきゃだめなんです。

・・・(;´Д`)あれ?なんかジャックされてる。
とりあえず藍しゃまと咲夜さんの出番まだー?キテーハヤクキテー。

ツクミニウムを補充したい…あの尻尾に埋もれたい…モフモフがたりない…モフモフがたりない!!(°Д°)
大事なことなので二回(ry

更新お待ちしております(*´∀`)♪

P.S.
雨宮さんのキレのある突っ込みをお待ちしております(ФωФ)


2015.12.26 21:43 / 内村カミーユд #- / URL[EDIT]

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